キム・スヒョン の最新ニュースまとめ
◆人口の半分以上を占める5大姓
「金」という姓が韓国の人口に占める割合は21.6%である。5000万人という人口の中で、なんと約1080万人が「金」を名乗っている。
当然ながら、姓だけでその人を呼ぶと、何人も振り向くような結果になるので、韓国では姓だけで人を呼ぶことは少なく、フルネームが基本になっている。友人同士の場合は、姓ではなく名前で呼びあうのが普通だ。
2位の「李」は14.8%もいて、韓国全体で約740万人もいる。さらに、「朴(パク)」は8.5%で約425万人である。
以上の金、李、朴という3大姓だけで、韓国全体の44.9%にのぼる。おそるべき占有率だ。
ちなみに、4番目に多いのが「崔(チェ)」。全体の4.7%で約235万人となっている。5番目の「鄭(チョン)」は4.4%で約220万人である。
3大姓に「崔」と「鄭」を加えると5大姓となり、その占有率は54.0%になる。わずか5つの姓だけで軽く半数を超えてしまうのだから、韓国人の姓がいかに少数にかたよっているかがわかる。
◆子供には親の名の1字をつけない
5大姓に続いて比較的多いのが、「著姓」と呼ばれる姓である。代表的なものには、姜(カン)、徐(ソ)、安(アン)、高(コ)、裴(ペ)、河(ハ)、具(ク)、趙(チョ)、韓(ハン)、権(クォン)、柳(ユ)、孫(ソン)、尹(ユン)、洪(ホン)、成(ソン)、張(チャン)、申(シン)、宋(ソン)、全(チョン)などがある。
また、ごく稀に漢字2文字の姓もある。具体的には、南宮(ナムグン)、皇甫(ファンボ)、西門(ソムン)などである。
子供の名前の付け方も日本とは大幅に違う。日本では親の名前の1字を子につけることがよくあるが、韓国ではそれをしない。むしろ、儒教や中国思想に由来する漢字を使っていく場合が多い。
特に男子の場合は、朝鮮半島に伝統的に根付いている五行思想がよく採用されている。具体的にいうと、「土」「水」「金」「木」「火」の順番に世代ごとに名前を付けていく方法である。韓国の男性の名前を見ると、漢字の部首に「土」「水」「金」「木」「火」が入っていることが多いので、今度注意深く見てみよう。
女子の名前を付けるときには、「姫(ヒ)」「淑(スク)」「玉(オク)」「恩(ウン)」「珍(チン)」などの漢字がよくつけられる。日本では「珍」はつけないが、韓国ではとても女性らしい漢字として採用される場合がある。
◆「本貫」とは何か
元来、韓国では夫婦別姓である。女性が結婚しても姓は変わらないのだ。これは、自分の出身一族を終生明らかにするためだ。韓国では、どの一族の出身であるかが特に重要視されており、女性はたとえ結婚しても自分の姓を守り続ける。
子供は原則的に父親の姓を名乗ることになっていた。それによってややこしいことも起きる。たとえば、夫婦が離婚して子供が母親に引き取られた場合、子供は父親の姓を名乗り続けるので、保護者である母親と子供の姓が違ってしまう。さらに母親が別の男性と再婚した場合、夫、妻、子供の3人の姓が違うという現象になる。このあたりは、日本では考えられないことだろう。
最近では法律が変わって、子供が母親の姓を名乗れるようになった。これで少しは母子の姓をめぐる混乱も少なくなるだろう。
なお、韓国人の姓には「本貫(ポンガン)」という隠れたキーワードがある。「本貫」というのは、一族の始祖の出身地を表すもので、いわば同姓内の流派と考えればいい。漢字2文字になっていて、「金」という姓なら「慶州(キョンジュ)」、「安東(アンドン)」といった本貫がある。
同姓であっても本貫が違ければ別の一派と見なされる。金や李のように非常に人口が多い姓の場合は本貫がたくさんあり、その場合は自分の本貫によってどの一族に所属するかを表していた。
かつては、同じ「本貫」を持っていると、親戚と見なされて結婚できなかった。同族同士は結婚しないのが決まりだったのだ。
そのことは長く法律で規定されていたが、人権保護の面で問題があり、今は法律の条項からはずされた。とはいえ、慣習として同じ本貫同士の結婚は今も韓国では敬遠されていて、現代版の「ロミオとジュリエット」が数多く誕生してしまう。
そういう事情があるので、たとえば金という姓の男女が知り合った場合には、まず、互いに本貫を確認しあって、同族であるかどうかを見極めたりする。本貫が違えばホッと胸をなでおろすところだが、もし同じならば、恋愛に発展しないように必死に自制しなければならない。なんとも気苦労が多いことだ。
(文=「ロコレ」編集部)
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