村治佳織=25日、ソウル(聯合)
村治佳織=25日、ソウル(聯合)
「ギターの魅力は豊富な音色と多様な色彩。“小さなオーケストラ”と呼ばれるギターは弾き方によって、力動的な曲も繊細な曲も豊かに表現することができる」

ずば抜けた実力と美貌で人気のクラシックギタリスト村治佳織が、来月23日にソウル・芸術の殿堂で3年ぶりの韓国公演を開く。これまでにも韓国でリサイタルを開いているが、今回は協奏曲でオーケストラと共演し、幼いころに視力を失ったスペインの作曲家、ホアキン・ロドリーゴ氏の『アランフェス協奏曲』と『ある貴紳のための幻想曲』を演奏する。

2人の縁は音楽界によく知られている。“ギター界の巨匠”と呼ばれるロドリーゴ氏の曲を収録した村治佳織のアルバム『Pastrale』を、ある音楽評論家がロドリーゴ氏に紹介したことから、2人は親交を持つようになった。電子メールでのインタビューで、村治佳織に当時の話を聞いた。「そのときロドリーゴ氏は98歳と高齢で、スムーズに会話ができなかった。わたしは彼の自宅で演奏したのだが、ロドリーゴ氏は点字の楽譜を指でなぞっていた。作曲家の前で演奏できたことは本当に幸運だった」

『アランフェス協奏曲』は、目が不自由なロドリーゴ氏が、豊かな水と青く茂った森に囲まれたスペイン・アランフェスの美しい風景を心に描きながら作った曲だという。スペインに長く滞在していた村治佳織は、作品がより深く感じられるのだと語った。『ある貴紳のための幻想曲』は、スペイン特有のリズムで作品全体に安らかさが広がる曲だと紹介した。

話題を転じ、急激に変化する現代社会で、静かで思索的なクラシックギターを学んだり、その音色を楽しむ人が次第に減っているのではないかと尋ねてみた。しかし村治さんは、日本ではピアノやバイオリンと同様、趣味でギターを学ぶ子どもが増えており、自身のコンサートに子どもを連れてくる観客も増えていると、予想外の答えを返してきた。「社会が急速に変化している今、むしろ人々は美しく穏やかな音色を求めているのではないかと思う。指で弦を押さえるギターは、演奏者のぬくもりをその音に感じられるから」
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