<b>“すたれた場所”音響だけ良くてどうする…</b>
専用の公演会場の数が少ないまま、年末を迎えた歌手たちのコンサートが続々と続いている。年末コンサートがブームになりながら、去年より1.5~2倍ほどコンサートが増加したという分析も出ている状況。しかし、このような量的成長に比べ、質的成長は緩いというのが音楽関係者たちの不満だ。いまだ“しっかりと整った”音響施設を取り揃えたコンサート会場は限られており、収益を生み出すのも難しい。コンサートは時々「すたれている」と批判され、観客は「コンサートを楽しむことを知らない」という汚名を被せられたりする。

<b>#1.体育館でコンサート</b>
コンサートが開かれる場所をみてみると、これらの公演会場の名前が“○○体育館”で終わるケースが多いということがわかる。オリンピックホール・室内体育館・フェンシング競技場など、スポーツのために建てられた建物で、大型コンサートが開かれているのだ。これらを除いても、ほとんどが大学や高校の大講堂を借りる場合が多い。(学校によっては、校長が昼寝をするからと、リハーサルを禁止する場合もある)。

コンサートに最適な空間というわけではないので、音響状態が悪かったり、“歪ませる”現象がよく起きる。いわゆる“エコー效果”が表れ、ステージから遠い所に座った観客に音が露出したり、一部のサウンドが大きく拡散されてしまい、歌手の歌声を聞くことができない場合が多い。歌手の顔さえもスクリーンで見なければならない後部席の観客たちは、エコー現象のせいで頭痛やめまいを訴えたりもする。それでも、コンサート関係者の立場からすると、客席を空けるわけにはいかない。チケット価格を下げてもチケットが売れず、結局はかなりの量の招待券を“放出”しなければならない危機にも陥る。

これは、歌手たちの立場からしてももどかしいことだ。音響機器のリース会社から、世界的レベルの器機を借りても、これを存分に活かせる空間がないのだ。去年オープンした<MELON-AX>が、最高級の音響機器を取り揃えた専門コンサート会場として期待されてはいるが、その規模が2500席程度ということで、5000席規模の大型公演は相変わらず“行く先がない”現状だ。その上、公演数まで増え、年末コンサートのために6か月前から会場を押さえるという競争が熾烈な状況だ。

<b>#2.金が残らない</b>
専門のコンサート会場がないため、すべてを自分で用意しなくてはならず、これがチケット価格の上昇を呼び起こす。コンサートのチケット価格は、通常5万ウォンから10万ウォン程度。Rainのワールドツアーの場合、最高17万6000ウォンまで記録した。さらに文化を楽しむ雰囲気が蔓延する年末を利用し、“高価格”にしているのではないかという疑惑もある。しかし歌手たちは「収益のためならば、むしろ様々なイベントに参加するほうがよっぽど稼げる」と口を揃える。

歌手たちに支給されるギャランティには通常、バンド・ダンサー・セッションなどへのギャランティが全て含まれている。より素晴らしいコンサートにしようと欲を出すと、歌手の純ギャランティは本来の金額の3分の1、4分の1くらいに落ちる。これでは、他のイベントに参加して2~3曲歌って受け取る金額と大差ないことになる。歌手たちの間では、「コンサートで残るものはありません」という言葉が、当然のように使われる。

従って、歌手たちのコンサートは、“自己ブランド構築”のためのイベントということだ。人気歌手Bのマネージャーは、「今は歌手ではなく、歌1、2曲が消費される時代」「アルバムの意味がないので、コンサートでイメージを高めようとする意図がある」と分析。

大衆音楽評論家キム作家は、企業のPPLから答えを探した。キム作家は「企業が文化マーケティングに多くの金を使っているが、大衆音楽にも関心を示さなければ」「音響などの公演インフラは企業の後援で補い、チケット価格を純利益にすれば、今の悪循環からは抜け出せるはず」と見込んでいる。

<b>#3.まともな評価もない</b>
映画やドラマと異なり、コンサートはまともなレビューを探すにも一苦労だ。何人の観客がコンサート会場を訪れ、どれほど熱い拍手を送ったかがすべて。イベント企画会社のタク・ヒョンミンさんは、「映画やドラマは、記者や一般大衆、皆が批評、ストーリー分析など、様々な批評ツールを学習しているのに比べ、コンサートは単に“よかった”“よくなかった”だけ」と分析。
こうした批評不足は、文化政治的現実に起因している。タクさんは「70年代以降、カラーテレビが普及し、政治的に“ショー”を活性化させ、音楽を“ショー”に従属させた」「一般的に、“ショー”を分析的に見たり意味を見出すことがおこがましくなった」と分析する。

未だ、コンサートの批評が定着しないのには、イベント企画上の問題も起因している。タクさんは「これまで、政治文化的な無関心から抜け出すような、差別化されたイベント構成のコンサートがあまりなかったことも事実」としながら、「バラード歌手のバレンタイン公演、人気歌手だけ並べた“ジョイント”ステージなど、国内公演が歌手のパーソナリティにだけに依存している」と評価。タクさんは「これからの発展のためにも、安逸な構成や、粗悪なステージセットを批判する声が高まるべき」と強調した。



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