キム・ガンウ
キム・ガンウ
俳優人生10年を過ぎたキム・ガンウの出演目録はかなり”密”だ。作品のカラーも実に多様だといえる。

キム・ガンウ の最新ニュースまとめ

 デビュー作であるキム・ギドク監督の「海岸線」からピョン・ヒョク監督のオムニバス映画「五感図」、国際映画祭で主演男優賞を受賞した際の「京義線」、イム・サンス監督の「カネの味」、ホン・サンス監督の「ハハハ」以外にもスリラー「仮面」、アクション「無籍者」、犯罪「マリンボーイ」、ミステリー「サイコメトリー」まで実に幅広い。

 しかし残念ながら、300万人の観客同員数を記録した「食客」(2007)を除けば、誰に聞いても彼の名前を挙げるに値する代表興業作はないのが事実だ。

 映画「チラシ:危険なうわさ」の公開を控えた17日、インタビューに応じたキム・ガンウは「興行のプレッシャーは当然あります」としながらも「ある瞬間、超越したようです」と答えた。

 「悪い映画に出演してきたわけではありません。悪口を言われたり、周囲の人たちから”どうしてこんな映画に出たんだ”と言われたり、そのような作品はなかった。そして、やはりその中で楽にできた作品もありませんでした。でも、興行成績はどうしようもできないもの。僕が体を張ったからと言って、うまくいくようなことでもないですし」。

 俳優という仕事が楽しく感じられたのは、ここ2~3年の間だという。10年はやってみなければ、という考えで当然、そのタイムリミットが迫るころ、やっと楽しさを感じてきたのだった。

 「この仕事を始めながら、職業だと考えていました。お金を稼ぐ手段だということは悪いことではなくて、本当に重要なことですよね。でも、とても長い間、楽しみというよりはプレッシャーの方がずっと大きくて、自分とは合わないと思っていました。もう辞めてしまって、サンドウィッチショップでも始めようかと考えるくらい…。でも、ある瞬間、楽しく感じられてきたのですが、それがいつのことだったのか思い出せません。きっと切迫感もあったのでしょう」。

 彼は「以前の僕だったら引き受けなかったであろう役柄もキャラクターが魅力的であれば比重が小さくても挑戦します。それで選択したのが『結婚前夜』(2013)」とし「僕を豊かにしたい、という欲だった」と語った。

 映画「チラシ:危険なうわさ」でキム・ガンウは、別名”チラシ”と呼ばれるプライベート情報誌によってすべてを失い、うわさの原因を追跡していくマネジャーのウゴン役を演じた。

 チラシの流通業者を捕まえようとカーチェイスを繰り広げ、ソウル市内を走り回り、権力者たちがもつれた事件の核心に近づきながら無慈悲な闘いに巻き込まれながらも絶対に諦めない人物だ。

 彼は普段、緊張はあまりしない方だが、今回の映画試写会ではかなり緊張し、心配していたのだという。

 「何ももっていないウゴンが仕方なく巨大な権力と闘うことになり、結局、自身の地位へ戻っていく成長ストーリーだと感じた」と語ったキム・ガンウ。ソウル市内でカーチェイスを繰り広げるシーンは毎週末、およそ1か月にわたり撮影したという。映画にも決して短くはない分量が収められたが、実際に「本当にたくさん撮影した」と強調した。

 しかし「俳優としても、こんなことまでしながらなぜ撮るんだ、と思うことがあるのですが、今回は撮影しておいてよかった、と思いました。苦労した甲斐があったな、と出演者同士で話しましたよ」と振り返った。

 現在キム・ガンウは、女性非正規労働者のストーリーを描いた映画「カート」を撮影中だ。社会的意味を込めた作品だが、彼はむしろ「シナリオ自体がおもしろくて、実際の人物の話がドラマチックだ」とし”意味”よりは”楽しさ”に重点を置いた。

 そして、その次の作品について聞くと「いつよりも慎重になりたくて、いまも悩み中です」とし、もう少し時間をかけて選択するのだと答えた。

 「俳優のゲームは40代からと思っています。3年後には40代となりますが、40代になる前にもっと多くのキャラクターを経験し、僕がもっている長所をさらに広げられるかが悩みです。40代になったら、勝負をかけなければなりませんからね。ストレスも受けながら、考え事もたくさんしたいと思います」。

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