阪本順治監督=(聯合ニュース)
阪本順治監督=(聯合ニュース)
日本映画『闇の子どもたち』(2008年)の韓国公開を控え9日から訪韓中の阪本順治監督が、映画の役割は闇に光を当てることだとし、今も日常的に発生している子どもを狙った性犯罪や、人身売買の実態を描き出したかったと語った。ソウル市内の映画館で10日、インタビューが行われた。
 
阪本監督は、1973年の故金大中(キム・デジュン)元大統領の拉致事件を題材にした日韓合作映画『KT』(2002年)でも韓国の観客になじみがある監督だ。この映画を撮るために20回以上訪韓し、ポン・ジュノ監督や俳優ソン・ガンホら韓国映画界関係者とのつき合いも深い。デビュー当初から、社会的な問題を多数取り上げてきた。
 
韓国で今月25日に封切られる『闇の子供たち』は、阪本監督の15本目の作品。在日コリアンの小説家、梁石日(ヤン・ソギル)氏の同名小説を映画化し、タイの裏社会で幼児虐待、人身売買、臓器密売が横行している醜い現実を告発した。
 
映画は目を覆いたくなるほどの醜悪な現実をそのまま描く。特に売春宿で成人男性と児童の間でどのようにおぞましいことが起きているかを、精密に描写した。こうしたシーンは、例えば大人が子どもの腕をつかみ部屋に連れ込むというやり方で終わらせることもできた。しかし阪本監督は、「観客のほとんどは、その中で何が起きるのか想像すらできません。ただ無責任に想像に任せたくはありませんでした。大人の醜悪な精神と体を赤裸々に見せながら、反省を促したかったのです」と説明する。
 
こうした姿勢は、子どもの描写にも現れている。スクリーンの中の子どもは無表情だ。阪本監督はある市民団体の知り合いから、同情交じりの視線で子どもたちを撮ってくれるなと言われたという。子どもがかわいそうに見えるほど、児童性愛者は強い刺激を感じ、そうした子どもたちの表情を楽しむのだと指摘された。そのため、監督は子どもたちの無表情なようすを撮り、その中に大人に対する無視や嫌悪感などあらゆる感情を込めた。顔をしかめたり涙を流したりしない無表情な子どもは、どんなホラー映画の身の毛のよだつシーンよりも背筋を凍らせる。
 
一方で阪本監督が最も懸念した部分は、誰かを傷つけることになりかねないということだった。その誰かとは、背景となったタイの国民かもしれず、子どもの臓器移植を願う親かもしれない。あるいは虐待される子どもを演じる子役にも傷を与えてしまうかもしれないと心配した。映画的な興味のために、あるいは新しい素材を扱うという理由で、この映画を撮ろうという気持ちはまったくなかった。そうした姿勢ではきっと誰かが傷つくことになるためで、監督は傷つく人がないよう慎重に慎重を重ねた。
 
映画のメッセージは、子どもに対する性犯罪が今現在もアジアのあちこちで起こっているという事実を観客に伝えることそのものだとし、「無知も罪」との考えを示した。「児童の臓器摘発や人身売買は警察の取り締まりで表面的には随分減ったが、陰では依然として横行している。児童を狙った性犯罪が起こっているという事実を、この映画を通じてでも知ってもらえれば」と繰り返した。

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