芸能人の麻薬スキャンダル…“韓流イメージ”は過去最悪状態?
芸能人の麻薬スキャンダル…“韓流イメージ”は過去最悪状態?
「2人の俳優によって、今すぐに公開できなくなった映画の制作費だけ合わせても最小で600億ウォン(約60億円)です」

イ・ソンギュン の最新ニュースまとめ

 ことし俳優ユ・アインからイ・ソンギュンへと繋がった麻薬スキャンダルにより、被害をこうむった映画・ドラマ制作会社代表のA氏は、「すべての制作者が『他人事ではない』という気持ちで、心配してこの事態を見守っている」とし、「制作会社や配給会社の株式暴落、さらに萎縮してしまう映画産業投資などの波及力を思えば、被害は大きすぎる」とため息を吐き出した。

 麻薬投与の疑いで俳優イ・ソンギュンが立件され、その後韓国グループ「BIGBANG」のG-DRAGONまで続き、芸能界全体が震えている。今回の捜査が芸能界全体の“麻薬ゲート”に向かう可能性があるという憂慮と共に、苦労して築いた韓流のイメージや地位まで墜落するかもしれないという心配からだ。一連の捜査過程を見守る関係者は、今回の事件が韓国映画などの芸能産業全体を焦土化し得ると訴える。一部の専門家は、「芸能人逸脱などの事件は、契約書に処罰および賠償の強化条項を入れたりするが、実質的な被害を救済するのは力不足」とし、「結局芸能人がより責任感と警戒心を持たなければならない問題だ」と指摘した。

<ことし麻薬容疑が浮上した芸能人5人→海外メディアの集中報道…コンテンツ株の暴落>

 麻薬類管理に関する法律違反の疑いをもたれているイ・ソンギュンは、今月28日インチョン(仁川)警察庁麻薬犯罪捜査係の事務室に出頭し、約1時間にわたって召喚調査を受けた。

 またイ・ソンギュンとは別で、仁川警察庁はG-DRAGONの麻薬投与の疑いもキャッチし、彼を追加立件して捜査中だ。警察は、彼らの携帯電話のフォレンジック作業を通じて、追加証拠および手がかりを確保する計画である。この過程で、麻薬に関わった第3の人物が登場する可能性もあり、芸能界関係者は捜査状況を慎重に見守っている。

 イ・ソンギュンは2001年にデビューし、多くのドラマや映画に出演して人気を集めていたトップクラスのスターだ。特に、2020年に「米アカデミー授賞式」の作品賞と、2019年「カンヌ国際映画祭」の最高賞であるパルム・ドールを獲得した映画「パラサイト 半地下の家族」の出演をきっかけに、世界でも認められる俳優になった。ことし5月に開催された「カンヌ国際映画祭」に招待された韓国作品の中で、彼が出演した映画だけで2作品もあった程だ。イ・ソンギュンは当時、映画「脱出:THE PROJECT SILENCE」(以下「脱出」)、「睡眠」で家族と共にレッドカーペットを歩いた。そんな中での出来事だったため、今回の麻薬スキャンダルは韓国国内を越えて、海外メディアも集中報道し関心を持って見守っている。

 トップスターの麻薬スキャンダルは、今回が初めてではない。ことしのはじめ、ユ・アインと元韓国グループ「WINNER」のナム・テヒョン、タレントのソ・ミンジェまで合わせれば、ことし1年で5人のスターが麻薬関連で物議を醸した。

 繰り返される芸能人の麻薬犯罪が、全世界の市場で注目されている韓流のブランドイメージに打撃を与えることもあると憂慮する理由だ。

 何より、ユ・アインからイ・ソンギュンに繋がった今回の事態で韓国映画界は、まさにお蔵入り直前の危機に置かれた。2人の容疑で、公開することができなくなった映画だけで4本、ユ・アインが出演したNetflix映画「勝負」と映画「ハイファイブ」、イ・ソンギュン出演の「脱出」、「幸せの国」がその例だ。これらの映画の制作費だけ合わせても600億ウォン以上である。さらに「脱出」は、「カンヌ映画祭」の招待作として世界的に注目を集め、140か国に先行販売された状況で、「幸せの国」は今月開催された「釜山国際映画祭」のフィルムマーケットで海外バイヤーから関心を集めた期待作である。

 ある映画社関係者は、「最近韓国映画市場が大変で、作品をしっかり作るだけでも良い反応を得にくいが、今回の事態で映画投資家の心理がさらに萎縮するものと考えられる」とし、「今すぐ来年、再来年の劇場状況が暗うつだ」とため息をついた。

<伝授調査・個人スケジュール同行…重要なのは責任感・道徳認識育成>

 芸能人の所属事務所は、今回の事態を見守ってアーティストの伝授調査など彼らの犯罪を前もって防止する多くの方案を苦心中だ。ある音楽事務所の関係者は、「万が一の知らない状況に備えて自体伝授調査をしている。しかし、所属芸能人に敏感な問題において聞けないため、慎重に接近中」とほのめかした。マネージャーが歌手の個人スケジュールまで付いていく場合も少なくなかった。

 俳優の芸能事務所のマネジメント本部長C氏は、「マネージャーと俳優も今回の事態について、警戒心を感じている。芸能人は世間のイメージで食べている職業で1人の逸脱が作品に関わった数百人の人生を脅かす可能性もあるので、お互いに気をつけようと督励している」とつけ加えた。

 映画・ドラマ制作者の場合、芸能人の犯罪によって作品が公開されない事例を防ごうと、かなり前から契約書に関連条項文句を挿入する方案を施行中だ。しかし、実質的な被害救済を受けるには限界が多いと口をそろえて言う。

 ある映画・ドラマ制作会社代表のD氏は、「芸能人の犯罪による直接的な賠償の範囲を決めて実際に適用するまでは、長い時間が必要だ」と、法律的判断が確定されるまで最小1年の時間が必要となり、その判断が下された以降にも被害額賠償範囲を算定するのは簡単ではないのが現実だ」と指摘した。続けて、「一生その作品だけ指を数えて待っていた監督や作家、スタッフのキャリアにも損傷をおよぼすこと」としながら、「彼らの精神的被害までお金で換算することはできない。結局芸能人がより責任と警戒心を持たなければならない」とも要請した。

 チョン・ドクヒョン大衆文化評論家は、「Kコンテンツなど韓流の地位は、以前と比べて世界的な波及力を持つようになった。それほど韓流に関わったスターもさらに大きな責任感を感じて、先に影響を与えなければならないが、それが反対に流れている状況」とし、「作品と歌をしっかり作るだけでなく、業界関係者の道徳性育成が非常に重要になった。個人の逸脱が産業全体に被害を与える可能性があるという点を、今回の機会に悟らなければならない」と助言した。さらに再発を防ぐための制度的、教育的方案を芸能人から所属事務所、制作会社と投資配給会社など、業界全体が全力を尽くして悩まなければならないとも強調した。
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