<W解説>治安が良いとされる韓国で相次ぐ通り魔事件、犯行予告=警察トップが緊急談話を発表する異常事態(画像提供:wowkorea)
<W解説>治安が良いとされる韓国で相次ぐ通り魔事件、犯行予告=警察トップが緊急談話を発表する異常事態(画像提供:wowkorea)
今月3日、韓国・ソウル市郊外のキョンギド(京畿道)ソンナム(城南)市のデパートで、男が複数の人を刃物で襲撃する通り魔事件があり、9人が負傷した。また、男はデパートで犯行に及ぶ前、軽自動車で歩道に突っ込み5人が負傷した。韓国では先月21日にも、凶器を使った通り魔事件が発生しており、国民の不安が高まっている。これを受け、韓国警察トップのユン・ヒグン(尹熙根)警察庁長は4日、国民向けの緊急談話を発表。再発防止に向け特別警戒活動に取り組む考えを明らかにした。

イ・スジョン の最新ニュースまとめ

事件が起きたのは城南市内にあるデパート「AKプラザ」。午後6時過ぎ、「男が人を刺して回っている」との内容の通報が警察に複数寄せられ、駆け付けた警察官が20代前半の男を現行犯逮捕した。韓国メディアによると、男は最初に軽自動車で歩道に突っ込み、通行人を負傷させた後、車が衝撃で動かなくなったため、デパートに入って凶器を振り回した。男は動機などについては供述していないといい、警察が引き続き調べを進めている。

韓国では先月21日にも、ソウルの地下鉄・シルリム(新林)駅近くで男(33)が刃物で襲撃し、1人が死亡、3人が負傷する通り魔事件が発生している。男は令状審査に出席するためにソウルの警察署を出る際、報道陣に対し「とてもつらかったからやった。申し訳ない。反省している」と話した。また法廷に入る前には「私は役に立たない人間」とも語った。また、犯行後、警察に身柄を拘束される際にも「生きていたくない。思い通りにならない」などと叫んだとされる。

この事件について、専門家は「劣等感からくる通り魔犯罪」と分析した。韓国紙のハンギョレ新聞の取材に応じたキョンギ(京畿)大学のイ・スジョン教授(犯罪心理学)は「今回の事件は被疑者の『ハンディキャップ』と密接に関係している事件」とし、「社会的に適応しているように見える若い青年に対して自身の怒りを表出した反社会的犯罪」と分析した。その上でイ教授は「凶器を繰り返し振り回していること、犯行後に隠れていないことを考えると、刑罰に対する恐れがなく、社会化が不十分な姿勢が見える」と指摘した。

この事件後、模倣犯が出てきかねないことが懸念されていたが、実際に同様の事件が2週間も経たぬ間に発生することとなった。

海外メディアは立て続けに同じような事件が起きたことに注目。「治安が安定している韓国では異例のこと」などと伝えた。

警察庁の尹庁長は4日、緊急談話を発表し、国民の不安が解消されるまで特別警戒活動を実施する考えを明らかにした。尹氏は「凶器の所持が疑われる人や異常な行動をとる人に対し、法的手続きにのっとり職務質問や検査を行う」と説明した。また、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領もこの日、国民が不安にならないよう、警察力を総動員して強力な対応を取るよう警察庁に指示した。

3日の事件以降、無差別襲撃をソウル市内で行うなどとする犯行予告が相次いでいる。聯合ニュースによると、事件後、翌日にかけ11件の犯行予告が確認されているという。3日午後7時ごろには、インターネットコミュニティーサイトに「あす朝、チャムシル(蚕室)駅(ソウルの地下鉄の駅)で20人を殺す」という趣旨の書き込みがあった。カンナム(江南)駅一帯での犯行予告も相次いでいるという。これを受けてソウル市は4日、緊急の会議を開き、市内の人が集まる施設などの警備を強化することを決めた。

また、4日未明には、インターネット掲示板に、尹大統領へのテロを予告する書き込みが見つかり、警察が捜査に着手した。投稿者は「あす5時、尹錫悦の家の前に爆弾を設置」と投稿した上で、政府の大学入試政策のため大学修学能力試験(日本の大学入学共通テストに相当)を諦めざるを得なかったと主張し、「地獄を見せてやる」などと書き込んだ。投稿は現在は削除されている。

治安が良いとされる韓国で相次ぐ通り魔事件、犯行予告に、国民の間には不安が広がっており、先月21日の事件以降、護身用品への関心が高まる状況にもなっているという。

Copyrights(C)wowkorea.jp 3