『マイ・ファーザー』のダニエル・ヘニー=(聯合)
『マイ・ファーザー』のダニエル・ヘニー=(聯合)
ダニエル・ヘニー(28)は、映画『マイ・ファーザー』の魅力はもっと奥深いと強調する。ヘニー演じるジェームス・パーカーは、韓国で生まれ幼いころ米国へ養子に出された。穏やかな家庭で何不自由なく育ったものの、実父への思いだけは捨てきれず在韓米軍に志願し韓国を訪れる。22年ぶりに会った父は死刑囚だったが、彼はいつ別れるとも知れない父との時間を大切にしたくて、会うたびに精一杯の愛情で父親に接しようとする。

ダニエル・ヘニー の最新ニュースまとめ

「最近は父親と息子の関係が希薄な場合も多いですが、“父と息子が愛情を表現してもいいんだ”というメッセージが伝わればいいと思います」。
続けて、一瞬一瞬を大切に生きるジェームスの姿にも注目してほしいと話した。「父親と過ごせる時間がどれほど残っているか分からない状況だからこそ、彼はそれだけ正直に愛情を表現できたのです。わたしも米国にいる両親とはあまり会えませんから、彼の気持ちがよく分かります」

映画は6歳のころに養子に出されたアーロン・ベイツさんの実話を基にしているが、それに対し負担は感じなかったのだろうか。「わたしも監督も、これはジェームズのストーリーだと理解していました。設定など事実と違う部分も多いですし、キャラクター作りもゼロから行いました。撮影前にアーロンさんには会えませんでしたが、そのことで逆に本人のイメージに縛られず、自分なりの表現方法で演じられたと思います」

また、映画には母親の助けも大きかった。ジェームスと同じく養子縁組で韓国から渡米したヘニーの母親は、撮影前に台本を見ながら「このシチュエーションならこんな気持ちだったのではないか」などとアドバイスをくれたという。ヘニーは、母がいなかったらこの映画をやり遂げられなかったかもしれないと打ち明けた。

次はどんな作品に出演したいかと尋ねると、「コメディが好きですが、アクションもやってみたいです。作品を選ぶ際にはストーリー性を最も重視しているので、良いシナリオがあればどこへでも行きたいですね」と答えた。ただヘニーは、どこで活動しても常に韓国が「家」だと強調した。モデルとして台湾や香港で活躍していた5年前に韓国を訪れた際、「ここから立ち去りたくない」と強く感じたという。今後は韓国での経験と英語を生かし、アジア人という枠に縛られずいろいろな役に挑戦したいと抱負を語っている。

映画『マイ・ファーザー』は6日に韓国で封切られる。(記事=小松朋子)


<b>深刻で重いファクション映画『マイ・ファーザー』</b>

韓国系アメリカ人俳優ダニエル・ヘニーが、2作目の主演を演じる映画『マイ・ファーザー』(監督:ファン・ドンヒョク/制作:シネラインインネット)は、実際にあった事件を基に再構成したファクション(事実と虚構とを織り交ぜた作品。ノンフィクションとフィクションの中間のもの)映画だ。

2003年11月<KBS日曜スペシャル-僕の父>を通じて、世間に知られた養子“アーロン・ベイツ”の実話を基にし、映画は制作された。
1979年に6歳で米国に養子に出されたアーロン・ベイツは、アリゾナ州立大学在学中に米軍に入隊し、本当の両親を探すため駐韓米軍に志願。韓国に来たあと様々な場所を探し回り、番組にも出演した末に見つけ出した本当の父親は、死刑執行1順位の死刑囚であり、彼らの初めての対面場所は刑務所だった。

映画よりもドラマのようなアーロン・ベイツのエピソードは、シナリオの素材を探していた『マラソン』のユン・ジノ作家の目に止まり、ユン作家のシナリオは映画『マラソン』の制作会社であるシネラインの手に渡った。
日頃から養子問題に関心が高かったファン・ドンヒョク監督が、アーロン・ベイツの映画化に参加したのも、ある意味、必然的な結果だと言える。

映画でアーロン・ベイツはジェームス・パーカーに名前を変え、母親が実際に養子だった韓国系アメリカ人俳優ダニエル・ヘニーがジェームス役に抜擢された。
作品の素材が素材だけに、始終一貫深刻で重い雰囲気が画面を支配する。真面目なテーマ意識は引き立つが、演出陣が素材の重さに捕らわれ、観客が感じることのできる映画的な面白味は少ない。
所々に織り込まれたコミカルな設定や米軍と韓国軍の間の対立の構造は、素材の重さを多少軽くするものの、“湯飲み茶碗の中の台風”程度の水準だ。

しかし、女性たちの幻想が生んだ“イメージスター”の限界を抜け出せなかった映画『ミスター・ロビンの口説き方』の時に比べ、大きく前進したダニエル・ヘニーの熱演はかなり印象的である。
彼はアイデンティティで悩む養子役を演じることで、自身にぴったりな役柄を発見したようだ。
ヘニーのぎこちない韓国語の発音は、相変わらず満足とは言えないが、上手すぎる韓国語の方がむしろおかしい養子役を演じることで、自身の弱点を強みに変えた。

現実の方が映画よりも映画のようだという点で、最近多くの映画制作者たちがファクションを好むが、映画的な想像力を満足に加えられずに、忠実な現実の再現に終わってしまうならば、観客はわざわざお金を払って劇場に行く動機を感じることはできないはずだ。
もちろん、その映画に出演する俳優たちを劇場で見たいなら話は別だが…。

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