「少しくらい食べてもかまわないと思うんだけど、一緒に食べましょう」(カム・ウソン)
「ガリガリに痩せた女優さんをたくさん見ておきながら…」(記者)
「それが“非正常”なんでしょう」(カム・ウソン)
やや低めで断固たる語調。これまでのインタビューでも、彼は他の俳優とは違った。映画界をよどみなく批判し、不真面目な質問には不快感も表す。
キム・スロ の最新ニュースまとめ
キム・スロと共演した映画『撃つ』(15日公開)に出演した彼を、ソウル・三清洞(サムチョンドン)で会った。映画の中で“人間教科書”と呼ばれるほど、バカ正直に父の教えのままに生きる男パク・マンス役。妻に離婚され職場でリストラされると、腹立ちまぎれに立小便をして捕まり、前科15犯のヤン・チョルゴン(キム・スロ)に出会って、ひょんなことから“熱い”一夜が繰り広げられる。
「戦争時代である親にとっては、子供をいい学校に行かせて、他人が羨ましがる職に就かせることが“生存本能”だったんでしょう。しかし、今の世の中は定石だけでは生きられないじゃないですか。そんな状況で混乱する小市民の話です」
感情を激しく表現する演技は「上手い」という評価を受けやすいが、彼は平凡で共感できる日常の演技が上手い。そして、心の中に何か秘めているような…。映画の中のパク・マンスは、平凡な人物だが、意外にもカーレーサーになりたいという夢を持っていた。芸術高校を経てソウル大の美術学部に進学した、内向的な少年だったカム・ウソンも、俳優になったことを考えると、胸の中に秘めるものを持っていたはずだ。
「“役者”らしい人だけが俳優になるのではありません。容姿端麗でハンサムでなければならないのでもないし。外見の比重が高いのは事実ですが、結局、自ら墓穴を掘ることになります。世代を跳び越えた良い作品を作るには、もう少し幅が広い俳優が必要だと思います」
腹を立てたパク・マンスは、食卓をひっくり返し、他人の車を壊すなど、普段やりたくてもできなかった行動をとる。見ている方は気持ちいいが、演じる本人は高級車を壊しながら、NGが出たらどうしようかととても緊張したという。
「やるなと言われたことをやった奴が幸せに生きる国」というパク・マンスの叫びは、小市民の鬱憤(うっぷん)を代弁している。これは彼がアドリブで作ったセリフだ。
「そういう“部類”がいることは事実じゃないですか。皆も認めますが、他人の人生を気にする余裕がないからそのまま暮らしているだけで、そんな気持ちを、パク・マンスを通じて表現したかったんです」
前作『王の男』で、俳優として最高の時間を過ごした。1230万人の観客動員数を記録し、<大鐘賞(テジョンサン)>で主演男優賞も受賞した。
「制作会社と投資会社の“公式”によって、低評価だった映画でこんな結果を出したという、痛快さを味わいました」
スター依存と旧態依然な制作慣行、ワイドリリースなどについても批判する。
「僕のベストは、飽きがこない演技をすることだけど、僕らは香港映画が滅びる過程を全て見てきたじゃないですか。韓流熱風も終わりかけているのに、その最後の勢いに乗って金だけ稼ごうとしたらどうでしょう。もう少し享受したいなら、既存の問題点を避けなくてはなりません」
彼は映画の広報も、“未来に役に立つ方式”を望む。
「テレビに出て“何回笑わせたか”で映画の認知度は高まりますが、仕事として考えたら、適切じゃないことの方が多かった。もちろん、僕も笑わせることはできます。そんな面まで含め、俳優のスタイルが伝わればいいけど、最近のトークショーはパネラーが主役じゃないですか。僕は僕のやり方で仕事をします」
俳優としてのプライドは高い。言うべきことははっきりと、ストレートに言う。
「だけど少しクールに見える」と思いながらインタビューを終えて出てきたが、彼は記者が手をつけなかったお汁粉を包んで、「家に帰って食べてください」と差し出した。包装容器には「温めるといっそうおいしく召し上がれます」と書かれていた。
Copyrights(C)donga.com & etimes Syndicate & wowkorea.jp
Copyrights(C)donga.com & etimes Syndicate & wowkorea.jp 0