最近、韓国映画界でベテラン俳優ペク・ユンシクの存在感はとてつもない。単純な年輪から感じられる存在感ではない。若いスターからは感じられない“強力な”エネルギーが感じられると言っても過言じゃない。今年初め、映画『ケンカの技術』で、これまで培ってきた“メンター(Mentor)”のイメージを発揮したペク・ユンシクは、映画『横綱マドンナ』に続き、全国700万人観客動員突破に向かって走り続けている映画『イカサマ師』では、ゴニに“秘法”を伝授するピョン警長役で、彼ならではの“存在感”をかもし出した。

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しかし、今回は少し違う。これまで“誰か”に“何か”を伝授していた“メンター”的な役割を演じてきた彼が、新作映画『愛情欠乏が2人の男に及ぼす影響』(監督:キム・ソンフン/制作:トゥモローエンターテイメント、アイラブシネマ)の、“男やもめ”トン・チョルドン役で帰ってきた。

ペク・ユンシクは「名前からして普通ではない。上から読んでもトン・チョルドン、下から読んでもトン・チョルドン(※ハングル表記の場合)」と話し、「社会のあらゆる悩みを抱えたキャラクター。3階建てのビルを持っているが、何でももったいないと思う、生活力の強いキャラクター」と、自身が演じる役柄を説明。『ケンカの技術』のオ・パンスがファンタジーっぽい人物だとしたら、今回のトン・チョルドンはとても現実的な人物だ。

これまで映画で彼が演じてきたキャラクターと比較してみると、今回のトン・チョルドンは最もコミカルな人物ではないかと思われる。ペク・ユンシクもこの考えに同意した。彼は「映画を見れば、韓国映画がこんな風にもできるだと感じるはず」だと強調する。

本当に独特なキャラクターのようで、もう一度アドリブについて聞いてみた。
「アドリブはまあまあやりますね。でも監督と事前に充分、合意してからやるので、厳密に言えばアドリブではありません。本を読んであれこれ僕の考えが浮かんだら、いつもメモをして現場に持って行く習慣があるんです。そのせいか、ある監督たちは僕を見てアドリブが全くない俳優とも言いますね」
彼の言葉のように、ペク・ユンシクは即興的というよりはむしろ、徹底的に準備する俳優だ。なんでもないユーモア1つも、実は緻密な彼の計算の中から生まれたものなのである。

「ペク・ユンシクが出れば、とりあえず見る」と考える観客ならば、今回の映画は期待してもいいはずだ。他ならぬペク・ユンシクの隠された歌唱力を、それも異なるジャンルの歌を3曲も鑑賞できるからだ。ペク・ユンシクはチョPDの『MY STYLE』を、完璧な“ペク・ユンシクスタイル”にして歌いこなしたかと思えば、“トロット(演歌)”もカッコよく歌う。そして最後に、自らピアノを弾きながら歌う<ユリサンジャ>のバラード曲『愛してもいいですか』は、今回の映画の“珍味”だ。

事実、ペク・ユンシクは“エンジンがかかったら”マイクを譲らないという。彼の愛唱曲は、ナム・ジンの『憎くてももう一度』チャ・ジュンラクの『落ち葉と共に過ぎ去った愛』など多数。

「僕は音痴ですよ。若い人達が集まったら歌を歌ったりするので、僕も仕方なく歌うんですよ(笑)」
来月、新作映画『怒れるペンギン』の撮影を控えているペク・ユンシクは、昨今の韓国映画界についても、熱い一言を忘れなかった。韓国映画界を“春秋戦国時代”と表現する彼は、「最近は、あまりに分別なく映画が制作されているように思う。あまりにたくさん作られるので、もう少しトレーニング期間の必要なスタッフたちが、あまりに早く監督デビューをするケースもあると聞いた。個人的には、有能な資質を持っていても、基本的なノウハウが蓄積されていなければ、その1人によって数十人のスタッフと俳優が苦労することになる」と、未来の映画監督たちへ忠告する。

軽く口にする一言にも、“哲学”が感じられるとしたら、信じるだろうか。ペク・ユンシクは、韓国映画界の数少ない映画俳優だと、自信を持って言える。彼のまた違った変身は、11月初めにスクリーンで披露される予定だ。


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