(写真左より)ペ・ドゥナ、パク・ヘイル、ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ、ピョン・ヒボン、コ・アソン
(写真左より)ペ・ドゥナ、パク・ヘイル、ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ、ピョン・ヒボン、コ・アソン
7月31日午後4時より東京・セルリアンタワーにて、映画『グエムル~漢江の怪物~』の出演者ソン・ガンホ、ペ・ドゥナ、パク・ヘイル、ピョン・ヒボン、コ・アソン、そして、『殺人の追憶』などを手掛けた韓国を代表する“ヒットメーカー”、ポン・ジュノ監督が参席し、来日記者会見が行われた。当日は、花束ゲストとして、日本でも絶大な人気を誇るタレントのユンソナが登場。「こんな場所に自分がいられるのが嬉しい。1回観たけど、もう1度観たい映画」と感想を述べた。

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-監督や出演者の皆さんと面識は?
ユンソナ:皆さん初めてです。今日、この場に来られてすごく嬉しい。すごくドキドキしてます(笑)。アイデアも面白くて、発想もすばらしいですね。家族の愛もあって、感動するシーンがたくさんあり、韓国でもすごく珍しい作品だと思います。

-“グエムル”と闘うことで、どんなメッセージを?
ポン・ジュノ監督:家族の間で、“世間”というものが疑問になるのですが、“世間”は、一家を助けてくれないんですね。“世間”というのも、この“グエムル”と同じように、この一家を見放しているんだということを語りたかったんです。国・社会・システムといったものが、この映画に出てくる家族のような力のない人たちを、果たして助けたことがあっただろうか、そういった疑問を投げかけたいと思いました。

-アメリカが関係していると暗示されていますが、どのように考えていますか?
ポン・ジュノ監督:ソウルの真ん中に多くの米軍基地があり、米軍に関わる良くない事件も起こっています。この映画の冒頭に見られる毒物流出事件というのは、6年前に実際に起きた事件なんです。そういった背景があったので、このグエムルの誕生には、事実も盛り込んでみました。そして、韓国におけるアメリカの役割について、風刺を込めて描きました。映画が公開された時には、「この映画は反米映画では?」と言われたこともあります。風刺していることは事実ですが、それだけに規制するのはどうかと思います。

-ソウル市民にとって、漢江(ハンガン)とはどういうものですか?
ピョン・ヒボン:普段、近くで漢江を見ていますが、穏やかな気持ちになれる場所です。また、今回は撮影期間中、長い間漢江にいて、「漢江がある」という誇りや自負心も芽生えました。
ペ・ドゥナ:憩いの場であり、デートの場所でもあります。私も時々、自転車で漢江まで行って、散歩をしたりしますし、本当に馴染み深い所です。
ポン・ジュノ監督:映画を撮る時は、非常に苦労しました。公園のような場所ですし、一般の市民もいますから、規制をするのが難しいんですね。今回、漢江のいろんな面をお見せしたいと思っていました。しかし、天気に恵まれなかったり、光の加減が上手く行かなかったり…水位もなかなか思うようにはならないので、コントロールできず、自分としては悪夢のような感じでした。「次の映画は100%スタジオで撮りたい」という気持ちでいっぱいです(笑)。
パク・ヘイル:この映画は、漢江の美しさだけではなくて、汚い部分も見せているんですね。下水溝が出てくるんですが、多分、市民の皆さんは汚さを知らないと思いますね。僕たちの撮影は夏に始まって冬に終わったのですが、俳優やスタッフが細菌に侵されては困るということで、注射を打って撮影に臨みました。
コ・アソン:私の家は漢江に近いので、よく友達と遊びに行きます。自転車に乗って、家族と一緒に夜景を見に行ったりもしました。漢江は穏やかでホッとする所という印象だったんですが、映画を撮る時、怖い部分や暗い下水溝もあることを知って、違って見えました。

-“グエムル”の造形イメージの発端は?
ポン・ジュノ監督:時代背景もあり、現在、人が生活しているソウルでの話なので、日常性をベースにして、“リアリティ”に基づくものを作りたいと思いました。
デザインの出発点は、以前、韓国で汚水のため魚の奇形が見られたことがあったんですね。それは背中が曲がったような魚だったんですが、その奇形の魚の形に着目して、そこから発展させました。また、歩き方ですが、傾斜では上手く歩けなくて転んでしまったりとか…怪獣であっても完璧ではなく、ミスをするというリアリティの部分を表現しようとこだわったんです。そして、グエムルに性格付けをしたかったんですね。性格の悪い、根性の曲がったハイティーンという設定にしまして、突発的な行動ですとか、苛立った様子も見せる性格を加えてみました。

-最近、日本では韓国映画はヒットしない傾向にありますが、今回はこの作品にどんな期待を込め、どんな計画、意味を持って臨んでいますか?
ポン・ジュノ監督:日本は怪獣映画の王国だと思います。一方、韓国には、怪獣映画の伝統がありません。日本の皆さんにどう楽しんで頂けるか、非常に気になるところです。商業的に申し上げますと、最近の韓国映画を見て、もしかしたら期待はずれだという作品もあったかもしれません。それは当然なことで、どこの国にも完成度の高い映画とそうでない映画がありますよね。日本の皆さんにはできるだけ完成度の高い作品を紹介して、注目して頂ければと思います。この映画が1つのターニングポイントとなれば嬉しいです。

-撮影中、苦労したことは?また、役作りについて教えてください
コ・アソン:漢江に落ちるシーンがあるのですが、最初、監督はそこはCGでやるから、実際には水の中には入らないと言っていたのに、前日になったら「実際に水の中に落ちてほしい」と言われて、ちょっと裏切られた気持ちになりました。
パク・ヘイル:ポン・ジュノ監督は、俳優を苦労させる監督だと思います。本当に辛かったことを覚えています。
ソン・ガンホ:ポン・ジュノ監督は、俳優さんを精神的にクタクタにさせる監督だと思います。重要なシーンを撮る場合、1週間くらい前からそのシーンについて語るので、こちらも1週間前から眠れない状態になってしまいます。
ペ・ドゥナ:ほとんどの部分で大変でした(笑)。映画では1秒しか映ってないシーンでも、実際は夜通し走り続けたりと、体力的に大変でした。私は高所恐怖症なんですが、橋の上で寝て起きるというシーンがあって、その時は泣きながら撮影していました。今回、役作りにおいては、冷静沈着で集中力があるところを見せてほしいと言われましたので、どんな状況でも冷静でいられるよう努めていました。
ピョン・ヒボン:雨のシーンが多かったんですね。しかも、雨のしずくも見せなきゃいけなかったので、通常よりも雨粒が大きく、体に当たるとアラレのような感じでした。キャラクター作りについては、お腹に詰め物をして膨らませました。年をとるとお腹が出てきますよね。お腹が出ることで、少しゆったりとした印象を出すことができますし、小市民的に見えるのではないかと思いまして。
ポン・ジュノ:(苦笑)僕は普段からあまり怒らない性格なんですが…。次にキャスティングする時に問題が生じ、アニメを撮るしかなくなってしまうと困りますので、お手柔らかに願います。(会場爆笑)

-初日の観客動員数歴代1位を記録しましたが、『王の男』を超えると思いますか?
ソン・ガンホ:僕たちにとっては、記録や数字よりも大切なものがあるような気がします。韓国映画は本当に力があるということを知って頂いて、観客の皆さんも誇りの持てる映画になってほしいと思います。
ポン・ジュノ監督:実は、この映画を撮ると周りに話した時、やめたほうがいいという声が多かったんですね。怪獣映画に対する偏見があまりにも強く、子供たちの夏休み映画になるのでは、と止められたんです。しかし、実際は多くの方に受け入れてもらうことができました。どんなジャンルに挑戦しても可能性があるという、監督として自信が持てるようになりましたね。

『グエムル~漢江の怪物~』は、来たる9月2日より日本公開予定。


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