学校に登校させず学習塾に通わせる保護者たち…所得水準による学力格差深刻化 = 韓国(画像提供:wowkorea)
学校に登校させず学習塾に通わせる保護者たち…所得水準による学力格差深刻化 = 韓国(画像提供:wowkorea)
ソウルのカンナム(江南)区で小学4年生の息子を育てるワーキングマザーのキム・セヨンさん(仮名、38歳)は、前期に子どもを登校させない日が多かった。コロナ禍でオンライン授業が長期化すると、家庭学習に専念させたわけだ。子供に家庭教師をつけ、必要な時は学校を欠席させた。登校前に自己診断で熱があると言えば、欠席が認められるためだ。キムさんは「家庭教師がマンツーマンで学習ケアをしてくれるので、学校で学ぶことを十分に補うことができると考え、今は家庭学習に専念している」と話した。

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大流行 2年目…学力格差の深刻化

 2日、教育界によると、コロナ禍が2年目に入り、所得水準による学力格差が広がっている。オンライン授業が長期化するにつれ、公教育の役割は衰え、学習塾などの教育は活気がある状況だ。所得水準の高い地域や教育特区では、子供をあえて登校させない傾向も見られる。むしろコロナ禍を他人との学力の差を広げる機会に活用しているわけだ。

 ソウルのヤンチョン(陽川)区で中学2年生の息子を育てるイム・ソユンさん(仮名・40歳)は「先月中旬から子どもを高校入試準備クラスに通わせているが、塾では学校の時間以外は塾のプログラムに沿って勉強するのが効率的だと言っていた。学校には熱があると言って、登校させずに塾の勉強に集中するようにしている」と話した。

 公教育では2014年から開始された先行学習禁止法(公教育正常化促進と先行教育規制特別法)で、中学2年生の生徒が中学3年、高校1年の課程をあらかじめ学ぶことはできない。しかし、学習塾はこのような規制の対象外だ。イムさんは「最近は、コロナの疑いの症状があると言えば、簡単に欠席できる。子供をできるだけ塾などに通わせようとする気持ちは、保護者として当然の想いだ」と話した。

所得水準による学力格差の深刻化

 2020年1月20日に韓国国内初の新型コロナウイルスの感染者が発生してからもうすぐ2年になる。コロナ禍1年目の史上初のオンラインでの始業を皮切りに、全国の小中高の学校ではオンライン授業が日常化になって久しい。教育部(文部科学省に相当)が登校拡大の方針を立てても、学校では感染者が発生すれば、授業はオンラインで行われる。このような状況下で不足している学校での学習を塾などで補い、コロナ禍の期間に学力を強化する人々もいるが、その逆の場合もある。

 小学校5年生の子どもを持つ、キョンサンプクド(慶尚北道)キョンサン(慶山)のチェ・ジニョンさん(仮名、39歳)は、コロナ禍で勤めていた会社の経営状況が厳しくなり、昨年初めに失業したケースだ。今はアルバイトを掛け持ちしており、子どもの面倒を見る暇がない。チェさんは「子供が下校しても面倒を見ることができない。オンライン授業が長期化し、学校からタブレットが支給されたが、一日中ゲームをしていても止められないため心配だ」と話した。経済的に苦しいチェさんは、「子どもを塾に通わせることもできず、心配でならない」と吐露した。

 所得水準による教育格差は数字でも確認できる。教育部と統計庁が昨年3月に発表した2020年小中高の学校における個人負担の教育費調査の結果によると、月の所得800万ウォン(日本円でおよそ80万円)以上の世帯の生徒1人当たりの個人負担の教育費は50万4000ウォン(日本円でおよそ5万円)であった。一方で200万ウォン(日本円でおよそ20万円)未満の世帯の個人負担の教育費は9万9000ウォン(日本円でおよそ10万円)でおよそ5倍の差だ。塾などに通う生徒だけを調査した結果でも、月収800万ウォン(日本円でおよそ80万円)以上の家庭は80.1%だったが、200万ウォン(日本円でおよそ20万円)未満の家庭は39.9%で2倍以上の差があった。

学力が崩壊する中、下位の生徒たち

 学校の教師も、オンライン授業の長期化で教育格差が拡大したという点に同意している。特に中、下位の生徒の学力崩壊を心配する。韓国教育学術情報院が先月26日に教師1万883人を対象に実施した「小、中学校オンライン教育実態調査」で、回答者の75.7%はオンライン授業後に上位10%の成績が維持されたと評価したが、中位の生徒の水準が下がったという回答は60.9%に達した。特に、下位10%の生徒の達成度が下がったという回答は77.9%に達した。

 テグ(大邱)市 タルソン(達城)郡の小学校教師は「普段授業にまじめに参加しなかった生徒たちが、オンライン授業に変わり苦しんでいるということが一番の問題」という点を挙げた。ソウルのヨンドゥンポ(永登浦)区の中学校の数学教師も「オンライン授業が拡大し、授業中の生徒との交流がほぼなくなった。オンライン授業では意思疎通に限界があり、重要なポイントだけしか説明できないので、生徒たちがしっかり付いてきてくれることを願うだけだ」と述べた。

 保護者の”塾などに通わせること”への依存度が高まっていることに、無力感を示す教師もいる。ソウルのマポ(麻浦)区の中学校教師は「コロナ禍以前のように登校して授業が行われる時も塾に比べて学校の授業が遅れているという話が多かったが、オンライン授業との並行システムではこうした現象がもっと深刻になっている。保護者が塾などに通わせることに依存していることを教師たちは、ただ無気力に見ているだけだ」と話した。
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