全世界が求人難に苦しんでいる。各国の企業は賃金を引き上げて求職者の確保に乗り出しているが、新型コロナで萎縮した対外活動が正常軌道に乗っていないうえ、人手不足分を補っていた外国人労働者の入国まで円滑に行える状況ではなく、企業はもちろん自営業者さえ正常営業に苦労している。
◇緊急事態宣言の解除と同時に採用が急増…日本の自営業者、求人難で賃金↑
16日付の日本経済新聞は先月、日本における飲食店などでのアルバイトの時給が前年同月比で2.4%(25円)上昇して1050円になったと報道した。全体の平均時給は1.4%(15円)上昇した1103円で、2か月連続で最高値を更新した。
日経は居酒屋や飲食店への営業制限を柱とする緊急事態宣言が解除され、居酒屋などで求人が急増したと伝えた。これまで正常営業が難しかった外食メーカー各社が一斉に採用に乗り出すと、ライバル社より早く社員を確保するために我先にと賃金を引き上げている、と日経は分析した。
神奈川県で居酒屋を経営しているある自営業者は日経に「社員を募集する際、初めは時給を1041円にしたが、他の飲食店が1050円で募集していることを知った」とし、「結局、時給を1100円に引き上げて社員を確保した」と説明した。
また、別の居酒屋の店主は、求職者を紹介した職員にボーナスとして1万~2万円の謝礼金を渡していると伝えた。
求人難は日本の物流にも悪影響を及ぼしているという説明だ。首都圏の物流作業員の平均時給は1168円だが、主要物流業者はこれより高い賃金を提示して求職者の募集を行っている。
さらに、レストランや物流倉庫の労働力不足解消を担っていた外国人労働者や留学生の入国が正常化していない状況であるため、追加金を払って従業員を探す市場状況はしばらく続く見通しだ。
外国人雇用を支援するウィルグループの担当者は「留学生の本格的な入国は来年2~4月頃になると見通す学校や企業が多い」とし、「飲食店などの最繁忙期である年末に人手不足がさらに深刻になる可能性がある」と指摘した。
◇米・英も求人難は相変わらず…賃金引上げでインフレ深刻化への懸念も
求人難により賃金を引き上げるのは日本だけの問題ではない。すでに米国企業も求人難に苦しんでおり、基本時給を持続的に高めているが、依然として人材の確保が難航している。
スターバックスは来年夏から2年以上働いた従業員の給料を5%、5年以上働いた従業員の給料を10%引き上げる案をまとめた。スターバックスは昨年12月にも従来の社員の給与を10%以上引き上げた経緯がある。
米国のメキシコ料理専門レストラン「chipotle」は最近、1時間当たりの賃金を15ドルに引き上げた。マクドナルドも賃金を10%引き上げたが、依然として必要な人材を確保することは出来ておらず、一部の店舗では業務時間を短縮するなど、困難に直面している。
世界的な電子商取引企業「Amazon」もまた、労働者誘致のため、今年9月に平均基本給を時間当たり18ドルに引き上げた。今年の冬の季節期間制労働者には地域によって最大3000ドルのボーナスを提供する予定だ。また、夜間や週末の交代勤務を希望する労働者には、1時間当たり最大3ドルの追加勤務手当も支給する方針だ。
欧州連合(EU)からの脱退で外国人労働者の誘致に困難を来たしている英国の企業や自営業者も賃金の引き上げを考慮している。英国の公認人材開発研究所(CIPD)のアンケート調査によると、英国の民間雇用主らは今後1~2か月間で職員の給与を平均2.5%引き上げる計画だ。直前の調査では給与を2.2%引き上げると明らかにしたが、求人難が深刻化し、賃上げ率を高くしたものと見られる。
ただ、賃上げは企業費用の増加へとつながり、該当費用が商品価格に転嫁され、インフレを加速させかねないという指摘も出ている。米国の先月の消費者物価指数(CPI)上昇率は31年ぶりの最高値である前年同月比6.2%を記録し、世界各国でもインフレに対する懸念が持続的に高まっている状況だ。
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