呉銀善さん(資料写真)=(聯合ニュース)
呉銀善さん(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル8日聯合ニュース】4月にネパール中部に位置するヒマラヤ山脈の高峰群アンナプルナ(8091メートル)の登頂に成功し、女性とで初めて世界8000メートル級の高峰14座を制覇した韓国の女性登山家、呉銀善(オ・ウンソン)さん(44)。山に登る理由を、「山はわたしの運命。帰れないことが分かっていても登ってしまう魔力がある」と語った。
 ソウル市内のホテルで8日に会った呉さんは、身長154センチメートルと小柄な女性だった。山の話になると目を輝かせ、これまでの数々の挑戦を聞かせてくれた。
 登山家を目指すようになったのは、小学校5年生ごろ。岸壁を登る光景を見たことがきっかけで、登山家を夢見た。大学では山岳部に入り、卒業の1997年にガッシャーブルム(8035メートル)に挑んだのを皮切りに、エベレスト(8848メートル)、K2(8611メートル)などを次々と踏破した。14座連続登頂の目標を立てた2008年からは、1年に4峰という驚異的なペースで挑戦を続けてきた。
 女性初の14座制覇とあり、国民から大変な関心を集めた呉さんは最近、インタビューや歓迎イベント、講演会などで忙しい毎日を送っている。自身の登頂経験を記したエッセーの出版も準備中だ。
 海外の高峰で日本人登山家と何度も出会ったことで、日本登山界との交流も進めている。女性で世界初のエベレスト登頂に成功した田部井淳子さん、「星のクライマー」故植村直己さんを尊敬していると紹介した。韓国で6月に行われた日本山岳協会と韓国登山界との交流会にも出席した。また、1月には北アルプスの西穂高岳(2909メートル)に登り、「韓国の山と比べ雪が多く、美しい光景に魅了された」という。またの日本訪問を楽しみにしていると話した。
 呉さんは、「頂上だけを見ていていは山は征服できない」と強調する。一歩一歩に忠実でなければならない、8000メートル級の高峰は、心が先走っては登頂を許さない。
 単独登頂が多かった呉さんだが、後進の育成にも意欲を示した。技術面は登山学校などで学べるが、8000メートル以上の高峰になると話は別だとし、自分には女性の立場で培ってきた経験を後輩に伝授する義務と責任があると話した。ただ、高峰に登るのはスポーツではなく、命の危険を覚悟しなければならないため、迷いも少しあると打ち明けた。
 40代半ばとなり、8000メートル級に挑戦できるチャンスは1~2回しか残っていないと考える。これまで命をかけ走ってきた挑戦を振り返り、自分自身を見つめなおす時間を持ちたいと呉さん。登頂の成功にこたわらず、挫折している人、勇気を出せず頭を抱えている人に希望と夢を与えたいと、今後の計画を語った。



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