韓国警察が検察に送ったチョンセ詐欺件数は、2020年97件から昨年187件へと2倍に膨らんでいる。住宅都市保証公社では立て替えた保証金が、今年に入って7月までに4000億ウォン(約411億円)を超える。チョンセ詐欺は賃貸人が賃借人の情報不足を悪用した例だ。そのため不動産取引の経験が少ない若者や新婚夫婦などに被害が集中しているという。まとまった保証金が財産のすべてである場合が多いため、詐欺に遭うと、家を買って裕福になるのではなく、奈落に落ちることになる。
韓国国土交通省はこうしたチョンセ詐欺を防ぐために、住宅の適正チョンセ価格と売買価格や賃貸人のブラックリスト、不動産業者の登録状況などが確かめられる「自己診断安心チョンセ」(仮称)アプリを来年1月に提供する予定だ。
その他、政府の対策としては賃借人が住宅の滞納や保証金などの情報を求めれば、賃貸人はこれを提供するように義務化した。賃借人が契約後、対抗力が生まれるまで、該当住宅の売買や根抵当権の設定は禁止される。現在の法律では、賃借人が契約後でも賃貸人が根抵当権の設定ができるようになっている。万一、賃借人が経済難に陥った場合、住宅の権利が担保提供者に優先されるため、賃借人が保証金を返してもらえない場合が出てくるという。
これ以外に、住宅都市保証公社に金融サービス、臨時住居の準備などを支援するチョンセ被害支援センターも設置する。
このような政府対策について4日、韓国メディアのニューシスは政府対策の核心である賃借人の「情報接近権」の弱さを指摘する声があると伝えた。賃貸人に情報提供の義務は生じたが、賃借人が「求めた場合」に限られているためだ。情報を求めなくても提供を義務化し、公開しなければ処罰できるようにしてこそ実効性が生じる。
ソウル新聞の2日付社説でも「公認仲介士協会、国会などと議論し、義務化すべきだ」と主張している。
このような声に、ウォン・ヒリョン(元喜龍)国土交通相は「年末まで取り締まった後、追加の対策を出す」と述べた。
Copyrights(C)wowkorea.jp 104