スーパーで買い物をしていると、調味料のみりんが置いてあるコーナーにわざわざ赤字に白で「これはみりんです」と表示されているのを見かけることがあります。分かりやすいように表示をしてくれているのかと思いきや、「これは醤油です」「これは砂糖です」という表示は見ることがありませんよね。なぜみりんだけ親切に「これはみりんです」と書かれているのか。その理由を調べてみました。

・「これはみりんです」の表示、その理由とは
知っていますか?「本みりん」と「みりん風調味料」の違い
本みりんはもち米、米麹、醸造アルコールから作られた「醸造調味料」。その甘味が特徴で、糖分は40パーセント程度です。

みりん風調味料は、みりんの風味と甘みを追求して作った「甘味調味料」。甘みが強く、糖分は55パーセント程度です。

・「本みりん」と「みりん風調味料」どっちがいいの?
用途と目的によって、どちらがいいかは異なってきます。
本みりんの良さは、味のしみこみやすさと、煮崩れにくさ。生臭さを消す効果もあります。
みりん風調味料の良さは、照りの出やすさと、求めやすい価格です。


・さらに、二つには大きな違いが!
本みりんにはアルコール分が13.5~14.4%含まれているため、酒類に属し酒税が課せられています。使うときには煮きってアルコール分を飛ばす必要があります。
みりん風調味料は、アルコール分が1%以下。煮きる必要もなく、酒税も課せられません。

つまり、本みりんはお酒で、みりん風調味料は、お酒ではない。これが明確な二つの違いです。


・「本みりん」って飲めるの?
お酒として飲用することができます。日本酒で作ることが一般的だといわれている「お屠蘇」も、本みりんで作ることが可能。市販の屠蘇散を浸して放置すれば、薬効成分が解け出し甘めのお屠蘇になります。
また良質のみりんであれば、牛乳割りをしたり、日本酒や梅酒で割って食前酒として楽しむこともできます。

本みりんを飲むのは美味しい、だからこそ危険が…
江戸時代に清酒が一般的になる前には高級酒として飲まれていたみりん。
(出典:Wikipedia)

いつも台所にある手軽さから、今でいうキッチンドリンカー、またアルコール依存症の患者の隠れたお楽しみになってしまうことも。また、これがお酒だと知らない未成年が飲用することになってしまっても危険です。


・「これはみりんです」=「これはお酒です」
『未成年者の飲酒防止に関する表示基準』では、
酒類の陳列場所の見やすい箇所に、「酒類の売場である」又は「酒類の陳列場所である」旨及び「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨を表示するものとする。
出典:国税庁
とあります。「みりん」も、お酒なのでこの法律が定める範囲内にあります。
「お酒じゃない『みりん風調味料』ではなく、これは『みりん』つまりお酒ですよ」ということを示す表示が「これはみりんです」の札だったのです。

つまり、未成年は「みりん風調味料」は買えても「みりん」は買えないということです。


・まとめ
いかがでしょうか。店舗によっては「これはみりんです」ではなく「これはお酒です」という表示になっていることもあります。未成年は購入ができませんので、お使いを頼むときには気を付けなければなりませんね。そして、普段のお料理に使うときも、「本みりん」と「みりん風調味料」それぞれの良さを認識したうえで上手に使っていきたいものです。


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