【公演レポ】ソン・シギョン×加藤和樹 韓国と日本アーティストの夢のコラボ…ウィットに富んだトーク&癒やしの歌声で観客を魅了!
【公演レポ】ソン・シギョン×加藤和樹 韓国と日本アーティストの夢のコラボ…ウィットに富んだトーク&癒やしの歌声で観客を魅了!
2023年3月9日(木)東京・豊洲PITにて、「Soothing by スカパー! Vol.1 ソン・シギョン×加藤和樹」が開催された。記念すべきvol.1には“バラードの皇帝”ソン・シギョンと実力派ミュージカル俳優の加藤和樹が出演。「心が安らいで癒される」という意味を持つイベント名“Soothing”の名の通り、心癒されるアーティストの歌声と心を通わせるトークコーナーが設けられ、大勢の来場者が特別なひとときを過ごした。本記事では昼公演をレポートする。

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今回のイベントは、公開ラジオ風に進行されるということで、韓流イベントではお馴染みの古家正亨がラジオパーソナリティーとなって登場。「ON AIR」のランプが赤く光り、古家の呼びかけでソン・シギョンと加藤和樹がステージに姿を現すと、大きな歓声と拍手が沸き起こった。

最初のあいさつで、ソン・シギョンは「こんにちは、ソン・シギョンです。よろしくお願いします。一緒に楽しい時間を過ごしましょう」と日本語で、加藤和樹は「ヨロブン、アンニョンハセヨ。チョヌン加藤和樹イムニダ。チャルプタクドゥリムニダ(みなさん、こんにちは。私は加藤和樹です。よろしくお願いします)」と韓国語であいさつ。違和感を覚えたソン・シギョンは「僕が韓国語であいさつした方がいいんじゃない?」と言うと、2人でもう一度母国語であいさつし直すことになり、オープニングから観客を笑わせていた。

2人は今回が初対面。お互いに会った印象を聞かれると、加藤和樹は「とにかく優しいです。僕にもですし、スタッフに対しても、スタッフがやりやすいように舞台で場をしきってくださり。効率良いようにスムーズに場をまとめる。それって優しさがないとできないものだと思います。スタッフへの気配りも忘れない。本当にすばらしい方です」と熱弁。このコメントにソン・シギョンは「韓国人だから口を出したり、我慢できなくて、こうしたほうが早くないですかって言ってしまう。それだけです(笑)」と正直に謙虚にコメント。古家も「(ソン・シギョンは)場を和ませる空気の作り方は素晴らしい」と付け加え、絶賛した。

加藤和樹についてソン・シギョンは「韓国語を勉強されて1年くらいしか経っていないのに、今日は手紙を書いてくれました。そのハングルがすごくきれいでした。文字を見るとその人間性がわかると言いますが、その文字を見ていい人だと思いました。それから、ミュージカルって誰にもできる仕事ではないんです。いろんなものが揃って、才能を持っていないと…。歌だけうまかったり、踊りだけできたり、芝居だけできたりする仕事ではないので。成功したミュージカル俳優さんだということは十分わかっています。今日はご一緒にできてうれしいし、楽しくやりたいと思います」と語った。続けて彼は「僕もミュージカルやってみたかったんですよ。でも、踊れない、声がマイクなしでは強い声じゃない、芝居は全然できない」と悔しさをにじませながらも「そして眼鏡をはずすと…」と話そうとすると、会場からはクスクスと笑い声が漏れる。この反応に彼は「なんで笑うんですか? まだ何も言ってないのに(笑)。韓国にはユ・ジェソクという有名なコメディアンとポロロというアニメのペンギンがいるのですが、ユ・ジェソクとポロロとソン・シギョンは眼鏡無しではいけないと言われているんです。それでミュージカルは難しいんです」とミュージカルには向いていないことを説明した。

古家がソン・シギョンについて「韓国では『鼓膜彼氏』と言われている」と紹介すると、ソン・シギョンは「鼓膜にしか使いようがないということですよね」とむなしそうに答え、またも会場を笑わせる。続けて彼は「見た目も性格も全部ダメで、耳だけは使いようがある。鼓膜彼氏ってひどくないですか? 一人前の彼氏になりたいですよ」と心の内を明かすと、加藤和樹に「逆に言えば、声だけで彼氏にさせられるということですね」とフォローされる一幕もあった。

オープニングトークを終えると、まずは1人ずつ歌を披露することになり、ソン・シギョンは1995年にカン・スンウォンがリリースした「初めて」をセレクト。これは2011年にはソン・シギョン自身がカバー曲として発表している彼の愛唱歌。ギターとストリングスが紡ぐ豊かな旋律、繊細で優しい歌声が響くと会場は感動に包まれた。

続いて加藤和樹は「Nostalgia BOX」に収録されている彼が作詞した「Still Alive」を披露。この曲について、彼は「例えば、大切な誰かとお別れをしてしまって、悲しみに暮れているときに、そんな中でも失った人が自分に残してくれたものを胸に抱いて前を向いて強く生きていこうというメッセージが込められた曲」と説明。ドラマチックで壮大なバンドサウンドとストリングス、胸の奥に訴えかけるような歌声で観客を引き込んでいく。

この曲を聴いたソン・シギョンは「アニメの主題歌みたいな、映画を観ているような、主人公が悔しくて泣きながら走っている感じがしました。歌も最高でした」と感想を述べ、歌いながら身振り手振りする姿に、彼は「ミュージカル俳優だから、いろいろなかっこいいモーションがあって、僕もやりたいんですけど、恥ずかしくて…」と消極的にコメントした。ソン・シギョンの歌声を聞いた加藤和樹は「聴く人に寄り添う歌声だなと感じました。高いキーを優しく語りかけるように歌うんですよね。鼓膜彼氏というのはすごくわかるし、これだけ大きなステージで直接的な身近に感じられるのはすごいことだなと思いました」と称賛した。

「影響を受けた楽曲とアーティスト」というテーマのトークコーナーでは、それぞれが歌手になろうと思ったきっかけとなる楽曲やアーティストの話をすることに。ソン・シギョンは「主にアメリカのポップスを聴きました。マライア・キャリーやスティーヴィー・ワンダーが好きで、デイヴィッド・フォスターが作る曲が好きでした。6つ上のお姉さんからもらったテープやCDに『デュラン・デュラン』とか『a-ha』とか。『NKOTB』も欠かせないですよね。今聴いても良い曲です」とアーティスト名を挙げ、ポップスを聴きながら歌の練習をし、どんな内容を歌っているのか知りたくて英語の勉強も始めたという。またJ-POPに関しては『安全地帯』の玉置浩二の曲がアーティストの中ではやり、玉置浩二の耳元で歌っているような歌声に引かれてファンになったことも伝えた。彼は「(玉置浩二と)実際に会ったことがあります。僕のラジオに来てくれました。放送が終わってから飲み会に行って、彼のことが好きな韓国のアーティストが集まって、一緒に歌ったりしたのですが、目の前でギターを弾いて歌ったら、まわりにいた女性たちの目がみんなハートになっていました。その時に『日本に来たら曲を作ってあげるから来てください。カワイイ女の子も紹介してあげるから、来るんだよ』って言われたんですけど、そこから連絡取れていません(笑)」と思い出エピソードも。

続いて加藤和樹は「僕は『ザ・ベイビースターズ』の『去りゆく君へ』という曲を聴いてアーティストになろうと思いました。お互い好き同士なのに、夢をかなえるために別々の道を歩んで行くという内容の曲。地元が名古屋で上京したばかりでまわりに友達もいない中、地元の仲間は大学に進学したり就職したり、自分の道を歩み始めている。その当時僕は目標というものが特になかったんです。自分1人だけぽつんと置いて行かれている状況を感じて、その歌詞の世界観とリンクしてめちゃくちゃ泣きました。このあふれる感情はなんだろう、自分もこういう音楽で人の心に響く歌を歌ってみたいと思ったのがきっかけでした」と歌手になろうと思ったきっかけを話した。

加藤和樹の話について、ソン・シギョンは「曲に出会って歌手になろうと思えることはかっこいいことだと思いました」とコメント。彼は「韓国の方が保守的というか…。『芸能人になれるのか?』という感じだったので、歌手になりたいということも考えたこともありませんでした。音楽は好きだけどまねして歌っていたくらい。それから、三浪して大学に入ってみたら、友達はみんな3年生になって留学とか行ったりしてるけど、僕だけが新入生。真面目に何をやって人生を生きていけばいいんだろうって悩んで、一番好きなのは何だろうってなったときに、歌が好きと思いました。でも、歌手って芸能人で有名な人だし僕にそれができないだろって思って、1年間頑張って結果が出なければ早く変更して勉強したり軍隊に行ったりしようと思っていました。でも、それがツイてるのか、いい曲に出会ってデビューできて、そこから23年経ちました」と歌手になるまでの過程を話した。

このテーマのトークを終えると、影響を受けた曲を披露する時間へ。ソン・シギョンは玉置浩二の「メロディー」を、時にはかなく、時に力強く歌い、加藤和樹は歌手になってから「古き良き楽曲を知らない世代の人達にも届けたい」という思いにさせてくれたという、さだまさしの「奇跡」を披露。伸びやかな歌声を会場に響かせた。

この日は、ソン・シギョンが日本語の楽曲、加藤和樹が韓国語の楽曲を歌う時間が設けられ、ソン・シギョンは「レミオロメン」の「粉雪」を披露。キーが高いため、「この曲は一日に1曲しか歌えない」と話していたものの、伸びやかに広がっていく歌声を会場に響かせ、会場から大きな拍手と歓声が巻き起こった。続く加藤和樹はシン・スンフンの「I Believe」を披露。2010年に開催された日韓交流祭でも披露したことがあるという彼は、ピアノの伴奏にのせて美しい歌声を届けた。

「Voice」というトークテーマでは、話すときと歌う時の違いがほとんどないソン・シギョンについて、彼は「しゃべるときと歌うときに違いがない方が歌手にとっても良いし、わざわざ作った声だと長く歌えません。話すように歌って、歌うように話します」と語る。逆に加藤和樹は「演じている時は役の声というのがあって、普段しゃべっている声と違いますし、かといって無理やり作るのではなく、お芝居を演じている上で自然とそうなっていきます」と、ミュージカルと歌手との違いを話した。

そして2人の歌声をもっと堪能できるようにと、2曲ずつ披露することに。曲の説明をする際には、加藤和樹が「ポップスとミュージカルの発声の違いがわかるような曲を歌います」と話すと、ソン・シギョンは「僕はソン・シギョンの歌い方には違いがないんだって思うような自分の楽曲を同じ風に歌います(笑)」と、ウィットに富んだ発言で笑いを誘った。

加藤和樹は山崎まさよしの「ONE MORE TIME, ONE MORE CHANCE」をエモーショナルに歌い上げ、続けてミュージカル「フランケンシュタイン」の「君の夢の中で」をまるでミュージカルを見ているような臨場感あふれる歌声で観客を魅了した。
そして、ソン・シギョンはドラマ「星から来たあなた」OSTの「君のすべての瞬間」を披露。美しいストリングスとピアノのサウンドに溶け合う甘く柔らかな歌声は聴くものを優しく包み込む。続いて2006年にリリースした彼のヒット曲「通りで」のステージへ。ここでは客席にマイクを向けて歌わせ、最後は大合唱となり会場は一体感に包まれた。

2人の音楽性が凝縮された歌やトークコーナーの時間はあっという間に過ぎ、最後は2人でソン・シギョンのデビュー曲「僕に来る道」を披露することに。
最後の曲を披露する前に、ソン・シギョンは「(日本で活動するために)曲を作っていますし、曲ももらっているので、良いアルバムを作って、今年(コンサートを)やるんですよ。友達をつれて来てください(笑)」と今後の活動を伝え、「またこういう舞台がもっとあったら良いなって思います。韓国での活動もやってきますので、よろしくお願いします。YouTubeは見るだけでなく、『いいね』を押してくださいね」とイベントの感想を伝えた。

加藤和樹は「4月にはビートルズの舞台『BACKBEAT』、7月からはミュージカルの『ファントム』の上演があり、3月31日には韓国のヴァイオリニストのKoNさんとジョイントコンサートがあります」と今後の活動について話し、「こういった出会いというものに本当に感謝しております。僕のことを初めて見た方もいらっしゃると思いますし、こうしてシギョンさんと古家さんと出会えたこともうれしいです。シギョンさんとまた同じステージに立てることを目指しながら今後も頑張っていきたいと思います」と、イベントの感想を語った。

そして、最後の曲を披露する時間へ。するとソン・シギョンが23年間付き合いのある古家にも歌に参加させようと提案。客席から「頑張ってー!」というエールが送られると、2人の歌手の間に立たされた古家は、最初のパートだけを少し歌い、温かい拍手が送られるなか逃げるように退場。その後は、加藤和樹とソン・シギョンが交互に歌い、心あたたまるハーモニーを会場に響かせた。この日しか聞くことのできない、2人のコラボステージに観客からは大きな拍手が送られた。鳴り止まない拍手の中2人が固く握手を交わすと、2人は笑顔を見せながらステージを去り、「心が安らいで癒される」イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。

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