「ファン・ウンド潜伏記」は、日本による植民地時代に慶尚南道・固城で独立運動に身を投じた実在の人物、黄熊度(ファン・ウンド、1901~1951)の一代記を描いた作品だ。重度の障害を抱える韓日の俳優20人余りが出演し、前衛的な動きで黄熊度の闘争記を表現する。
先ごろインタビューに応じた金さんは、障害者に対する偏見を覆す舞台を披露したいとの意気込みを示した。ゆがんだり曲がっている障害者の体を通じて喜怒哀楽を表現したいという。
公演では、黄熊度が固城で独立運動を始め、朝鮮総督府の弾圧を受けながら闘争を続けた末に独立の日を迎える過程を身体表現で描く。せりふはない。2009年、大阪での初演ではタルチュム(仮面劇)、プンムルノリ、パンソリなど、韓国の伝統芸能も織り交ぜ、日本の観客に韓国の伝統芸術の美しさを披露した。
金さんは大阪公演について、「日本でも右翼の声が高まっているため、抗日運動というテーマがどのように受け止められるのか悩んだりもしました。しかし、観客らがさほど拒否感もなく観賞したのをみると、作品を芸術として理解してくれたのではないでしょうか」と振り返る。
金さんは劇団を旗揚げしてから28年間、50作品以上を上演してきた。自身の体の中を流れる韓国人の血を表現することは難しいと思っていたが、いざ表現してみると「文化には壁がない」ということを感じたという。
在日同胞は不完全な存在ではあるが次第に日本社会のさまざまな分野で活発に活動しているとしながらも、「韓日両国の観客が歳月の中に埋もれてしまった黄熊度の物語を見ながら、歴史が重なって今という時間が存在することに気付いてほしい」と語った。
「ファン・ウンド潜伏記」は3月21~22日にソウル・韓国文化の家で、同25日に慶尚南道・固城郡文化体育センターで上演される。
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