山口県立大学の浅羽祐樹氏=(聯合ニュース)
山口県立大学の浅羽祐樹氏=(聯合ニュース)
【東京4日聯合ニュース】日本・山口県立大学の国際文化講師、浅羽祐樹氏は、韓日強制併合100年を迎えることしを「過去100年について冷徹に振り返りながら、今後の100年をともに見据える大切な年にしたい」と述べた。
 日本を代表する若手の朝鮮半島・韓日関係専門家で、昨年11月には日本の朝鮮半島研究者で構成される現代韓国朝鮮学会から、第1回学会賞を受賞した浅羽氏が、聯合ニュースのインタビューに応じた。

 鳩山由紀夫政権発足後、韓日関係改善への期待が高まっている。浅羽氏は「順調な出発と見ることができる」と評し、鳩山首相が韓日中首脳会談を目前に韓国を訪れ、李明博(イ・ミョンバク)大統領と首脳会談を行ったことも、韓日関係の意義を、両国間関係を超えた次元に据えたものと高く評価できると述べた。韓日関係はいま、「国際社会にともに貢献する成熟したパートナー」としても注目されているとし、両国が合意したこうしたビジョンに基づき、関係を強化していくことが重要だと主張した。

 ただ、韓日間に顕著な期待度の差があることが懸念されると指摘。鳩山首相が韓日間の懸案をすべて解決してくれる、またそうあるべきだと考えるのは無理な注文だと述べた。韓日にはそれぞれ問題をめぐる固有の立場が存在し、これは政権が変わっても変化するものではなく、また容易に変えられるものでもないと説明。その立場の違いをそのままに、両国首脳がリーダーシップを発揮し、韓日関係の戦略的な重要性を両国民と国際社会に示し続けていくことが求められると指摘した。

 浅羽氏は、韓日強制併合からの100年間を、植民地期の35年、国交断絶期の20年、国交正常化から今日までの45年に分ける。この間、韓日関係の性格は大きく変化・発展したが、今日までの45年間が植民地期の35年間を否定してはならず、また反対に、植民地期がその後のすべての時期と未来までを圧倒することも賢明とは言えないと強調した。歴史問題が争点とならない韓日関係の実現に向け、両国は、「2110年までの100年」という未来をどのように作るかという責任を分かち合っていると述べた。

 今後の韓日関係における望ましいアプローチを尋ねると、まず韓国側に対しては「ある争点で国内世論が完全に一致するということはありえず、対外関係でも同様だということを、十分理解するべき」だと述べた。歴史問題に対する韓日政府の立場は1998年の韓日共同宣言に明示されており、両国政府は相手側の国内世論の多様性を認めつつ、共同宣言で示した立場を一貫して堅持していくことが望ましいとした。

 日本側に関しては、最近のアンケートでは韓日関係は良好だとする回答、韓国に親近感を感じるとの回答が多く、韓日関係に対する評価は過去最高の水準に高まっているが、韓日関係は「良好だ」との回答が「良好ではない」を下回った2005年と2006年でも、韓国に「親近感を感じる」との回答が「感じない」との回答を上回っていたと紹介。韓日関係に対する客観的な評価と個人的親近感は別ものと受け止めるバランス感覚がうかがえると説明し、日本政府は、世論の成熟度と韓日関係の戦略的重要性に立脚し対応することが求められると述べた。

 ことしは韓日強制併合100年のほかにも、第2期韓日歴史共同研究委員会の報告書公開、在日韓国人の地方参政権、天皇の訪韓問題、日本参議院選挙など、韓日関係の争点や世論の対立になるだけの事案が多く控えている。浅羽氏は、いずれもひとつ誤れば、鳩山政権の国政運営が挫折するだけでなく、韓日関係にも消すことのできない禍根を残しかねないと指摘する。慎重に慎重を重ねてアプローチする必要があるが、韓国は鳩山首相の動きの幅は決して広くないということを理解すべきで、過度な期待は禁物だと強調した。

 浅羽氏は、ことしは「1910年から100年」に当たると同時に、「2010年まで100年」「2015年(韓日国交正常化から50年)まで5年」の年でもあると強調。今後5年、そして100年に向け、自由貿易協定の妥結や安保協力制度化など両国関係を一層強化すると同時に、国際社会にともに貢献する公共財としての性格をより鮮明にすることもひとつの方法だと主張した。

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