【ソウル23日聯合ニュース】盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領は朴淵次(パク・ヨンチャ)前泰光実業会長から600万ドル(約5億6862万円)の「包括的賄賂(わいろ)」を受け取った疑いで、先月30日に検察に出頭し事情聴取を受け、その後も米国でのアパート購入など新たな疑惑が提起されてきた。
 盧前大統領は在任中の2007年6月、朴前会長から鄭相文(チョン・サンムン)元青瓦台(大統領府)総務秘書官を介し100万ドルを受け取った疑いが持たれたが、権良淑(クォン・ヤンスク)夫人が金を受け取っただけで、自身は知らなかったと主張していた。

 2つ目の疑いは、盧前大統領の退任を控えた2008年2月に、朴前会長が盧前大統領の姪(めい)婿ヨン・チョルホ氏に送金した500万ドルだ。盧前大統領は、退任後に500万ドル授受の事実を知ったが、対価性のない正常な投資金だったと釈明した。

 鄭元秘書官が大統領特殊活動費12億5000万ウォンを横領し裏金をつくる過程で、盧前大統領がこれを指示したか黙認していたという疑惑もあったが、検察は盧前大統領が関与した事実を把握することはできなかった。また、検察は朴前会長が2006年に、盧前大統領夫妻の還暦祝いとして、億ウォン台の高級時計を贈った事実も確認しており、起訴内容に含める予定だったと伝えられる。

 ここまでは、4月30日の事情聴取以前に警察が捜査を進めた嫌疑だが、その後も長女・静妍(ジョンヨン)氏の米国アパート購入に関する新たな疑惑が浮上した。静妍氏は、2007年9月に朴前会長から40万ドルの送金を受け、米ニュージャージー州のアパート購入に使用したことが明らかになっている。検察は、この金も盧前大統領に対する包括的賄賂に当たるとみて捜査していた。

 盧前大統領は、ほとんどの嫌疑と疑惑について、一貫して「知らなかった」と釈明してきたが、各嫌疑が明るみになるごとに家族が関係しており、法的責任とは別途に、道徳的な面で非難受けてきた。

 検察は、事情聴取後に盧前大統領に対する拘束令状請求の是非を定める方針だったが、40万ドル疑惑が新たに提起されたほか、千信一(チョン・シンイル)世中ナモ旅行会長に対する捜査も急浮上したため、身辺処理を先送りにしていた。ただ、内部では在宅起訴の方向で意見をまとめつつあったようだ。

 また、大統領退任後の国家記録物流出事件と、故南相国(ナム・サングク)元大宇建設社長の遺族が提起した名誉棄損事件についても、ソウル中央地検が捜査を進めていた。

 国家記録院は、大統領記録物を無断で外部に持ち出した疑い(大統領記録物管理に関する法律違反)で盧前大統領の秘書陣10人をソウル中央地検に告発。盧前大統領についても保守団体が告発し、昨年8月から捜査が開始された。しかし、盧前大統領に対する調査方法を定める前に、朴淵次ロビー事件の捜査が本格化され、この部分の捜査は事実上、保留の状態になっていた。

 逝去を受け、検察は「公訴権」を失い、盧前大統領に関するこれ以上の捜査は意味がなくなった。「公訴権なし」とは検察が下す不起訴処分のひとつで、被疑者の死亡や公訴時効などで裁判を進められない場合に取られる。法務部の金慶漢(キム・ギョンハン)長官も同日に声明を出し、「現在進めている盧前大統領に関する捜査は終了するものと承知している」と明らかにした。

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