恩田さんはミステリーやスリラー、SF、ファンタジーなどをひっくるめ、既存のジャンルにとらわれない”恩田陸ワールド”を築いた作家と評される。恩田さんはこれについて、幼少のころからジャンルを選ばず読んできたが、それが小説を書くときにも反映されているようだと話した。最近は自分をはじめ多くの若手作家もひとつのジャンルに固まらず、さまざまなジャンルを行き来しながら執筆しているが、今後もそうした傾向に流れていくものと予測した。
”読書狂”の彼女は、読書が文章を書く理由であり、執筆の最大の源泉でもあると話す。「おもしろい話を聞き、読み、話したいと思うのはわたしだけでなく皆同じ。小説を書くようになった理由も、わたしが知っている話、読んだ話を自分が解釈した内容で伝えたかったからです」。自身を小説家でなく読者だと考えて小説を書くといい、他の作家の本を読み、自分もこんな本を書きたいと思うことが執筆の最大の動機になると明かした。
高校の行事「歩行祭」をテーマにした代表作『夜のピクニック』をはじめ、作品には学校を舞台にしたり旅行をテーマにしたものが多い。「両親の転勤でたくさん転校したせいか、学校にいつも神秘的な感じを受けます。そして旅行はわたしにとって本と似たような意味を持っています。旅行を終えると本を1冊読んだかのような感じを受けるでしょう。どんな場所でもその場所だけが持つパワーのようなものがありますが、そうしたパワーを通じて作品の動機を与えられることもあります」。
一方、訪韓を前に国内で出版された最新長編小説『きのうの世界』については、「これまでに書いた約40作品に盛り込まれたすべてのジャンルが入っている自分の作品世界の集合体。すべてを注いで書いた」と紹介した。
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