ソウル市内のクーパンの配送車両 (イーデイリー・パン・イングォン 記者)
ソウル市内のクーパンの配送車両 (イーデイリー・パン・イングォン 記者)
国会政務委員会の法案審査が15日から17日に予定されているが、難航が予想されている。野党議員による妨害のため、事実上会議が失敗に終わる可能性があるとの見方が優勢だ。問題は、今回の日程にボイスフィッシング対応関連の法案が多数含まれている点だ。政治の衝突が長期化した場合、金融犯罪に対応できず被害が広がる恐れがある。これまで、政務委員会の内外では「ボイスフィッシング犯罪は金融の安全網に脅威を及ぼすレベルの構造的犯罪」と懸念されてきたが、制度の整備は一歩も進んでいない。

政務委員会には現在、ボイスフィッシング組織の加害者の捜査情報や通信・口座情報を全金融会社に共有する内容を盛り込んだ法案などの緊急課題が積まれている。特に、金融会社間で情報共有が行われれば、犯罪パターンをリアルタイムで探知することができ、詐欺に使用された口座を即時に凍結させることが可能だ。金融当局も「今こそが適時だ」として法改正を繰り返し要請してきた。しかし国会での議論が紛糾した瞬間に犯罪への対応もストップする。

特に最近、クーパンによる個人情報流出事件が起きて以降、市場の不安はさらに拡大している。大規模な個人情報の流出が起きた場合、ボイスフィッシングの危険は無限大に広がる。実際に金融界でも「過去とは比較にならないレベルでの警戒が必要だ」との声が上がっている。取引・決済システム全般の信頼が揺らぐ恐れがあるという点で懸念は大きい。しかし、法改正の責任を負う国会は政争に明け暮れており、一歩も前に進まないでいる。

振り込め詐欺は一日も休むことなく起こっている。犯罪組織は国会の日程を待ってくれない。ところが韓国国民は国会が止まっているために、できる対応さえできない逆説的状況を迎えている。危険を承知の上で放置された格好になっている。政務委員会の日程が白紙化された場合、失われるのは政界の体面ではなく国民の財産だ。ボイスフィッシングが社会的災害のレベルにまで広がっている今、国会が最小限の責任を全うすることを願う。これはいつまでも後回しにできる問題ではない。
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