改正穀物法に対応する政府の主な手段は、コメの代わりに戦略作物の作付けを促す「戦略作物直接支払制度」だ。しかしことしのコメ価格が1年前より20%も急騰し、この直接支払金の効果が限定的にとどまる可能性が高まっている。来年は関連予算を約70%増額し、そもそも余剰米が出ないよう事前の需給管理を強化する方針だったが、すでに昨年の政府による市場隔離措置がことしのコメ価格に影響し、コメ農家が他作物へ転換するメリットが消えたとの指摘もある。
専門家は、単に戦略作物への転換を促すだけでなく、地域や農家の特性を踏まえた細やかな政策設計が必要だと提言している。
24日、農林畜産食品部によると、来年度予算案に計上された戦略作物直接支払制度の予算は政府案ベースで4196億ウォンと、ことし(2440億ウォン)より72%増となった。水田で主食用の稲に代わり、小麦、大豆、粉米、飼料作物などの戦略作物を栽培すれば補助金を支給する仕組みで、来年施行される改正穀物法施行令に伴う後続対策として用意された。
改正穀物法施行によりコメの供給過剰が深刻化するとの懸念が大きかったが、政府は今回の改正案は「事前の管理強化」に重点を置いていると強調してきた。従来のようにコメが余れば事後的に超過分を買い上げる方式ではなく、事前に作付け面積を減らして財政負担を抑える狙いだという。
具体的には、戦略作物直接支払制度の支援面積を17万6000haから20万5000haに拡大し、支援品目と単価も引き上げた。需給調整用の稲には1ha当たり500万ウォン、ソルガム、ハトムギ、アルファルファ、そばなどには240万~250万ウォンを支給する。従来の品目のうち、夏季飼料作物、トウモロコシ、ゴマの単価も引き上げられる。これにより、来年のコメ作付け面積を約9万ha削減する計画だ。政府は来月、品目別の管理面積など運用方針を具体化する予定である。
問題は、コメ価格の高止まりで戦略作物直接支払制度が十分に機能しない可能性が高まっている点だ。農食品部は2023年に制度を導入した際、コメと戦略作物の純収益の差額を基準に支払単価を設定した。
支給単価が低いとの指摘を受け、来年は単価を引き上げたうえ、新規品目(アルファルファ・ソルガム・ハトムギなど)はコメの純収益の110%水準で単価を設計した。しかしコメ価格が上昇すればコメ栽培の純収益が増え、結局はコメを作る方が得だと判断されかねない。実際、ことしのコメ作付け面積の減少は2万haにとどまり、13万tが過剰生産となった。それにもかかわらず、今月15日時点の産地コメ価格は20kgあたり5万6998ウォンと、1年前より24.6%高い。
戦略作物の中でも過剰生産が懸念される品目が出ている点も問題だ。転換が容易な水田大豆など一部品目に集中しているためだ。韓国農村経済研究院によれば、ことしの水田大豆の作付け面積は昨年(2万2438ha)より46.7%増の3万2920haとなり、大豆生産量は例年より10%多い17万2000~17万5000tと推計されている。しかし国産大豆の消費が追いつかず、大豆価格の暴落が懸念されている。
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