報道によると、給油支援対象となっていたのは、韓国空軍の特殊飛行チーム「ブラックイーグルス」。同チームは当初、今月中旬からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催される航空ショーへの参加を計画しており、その際、航空自衛隊那覇基地(沖縄県)に立ち寄って給油を受ける予定だった。
自衛隊は米国や豪州など各国との間で、物資や薬務を融通し合うための「物品役務相互提供協定(ACSA)」を結んでいるが、韓国とは締結していない。一方、自衛隊法116条1項は、自衛隊の任務に支障が生じない範囲で燃料を無償貸し付けできると定めており、自衛隊は、韓国軍からの給油支援要請を受けて、この規定を基に給油実施に向け準備を進めていた。
しかし、同チーム所属の空軍機が、先月下旬に竹島周辺を飛行していたことが分かり、防衛省は給油支援は難しいと判断した。韓国メディアによると、当時の飛行は訓練目的で、白煙を用いて韓国の国旗「太極旗」の模様を描きながら竹島上空を飛んだという。
日本側の給油中止を受けて、ブラックイーグルスは航空ショーの参加を見送った。聯合ニュースによると、ブラックイーグルスは海外の航空ショーに参加する際はこれまで台湾の高雄にある基地で給油をしていたという。しかし、那覇基地を利用すれば時間が短縮できる上、費用も抑えられることから、今回、日本側に支援を要請していたという。実現すれば、これまで前例がない、新たな日韓の防衛協力となっていた。
読売新聞は「中止方針は、10月30日の高市(早苗)首相と、(韓国の)イ・ジェミョン(李在明)大統領の初会談の直前に固まった。首相は会談後も、李氏と一致した未来志向の日韓関係に向けて給油の実現に強くこだわったが、『今回は世論の理解を得るのが難しい』との声が政府内に根強く、断念した」と経緯を伝えた。
今月1日、小泉進次郎防衛相は訪問先のマレーシアで韓国のアン・ギュベク国防部長官と初めて会談した。両氏は日韓両国の防衛協力についても意見を交わし、防衛当局間の定例協議と人的交流をさらに活性化させることで一致していた。小泉氏は4日、韓国空軍機への給油支援が取りやめとなったことについて、「日韓の防衛当局間の調整が整わなかった」と説明した。
一方、アン長官は9日、KBSの番組に出演し「先の防衛相会談で)安保協力関係を維持しようと話したが、(日本が)また違う姿を見せ、失望を感じる」と述べた。この発言を伝えた中央日報は「アン長官は具体的な事例には言及しなかったが、最近、日本政府が韓国空軍ブラックイーグルスT-50B特殊訓練機に対する中間給油を拒否したことに対して、事実上、遺憾を表明したものとみられる」と解説した。
一方、韓国軍の軍楽隊は、今月13~15日に東京の日本武道館で開かれる「自衛隊音楽まつり」への参加を見送ることを決めた。このイベントへの参加は両国の防衛相がことし9月の会談で「人的交流の活性化」の一環として進めることで一致していた。日本側の給油支援取りやめを受けた対応とみられる。
韓国紙のハンギョレは「両国政府は、今回の事態が外交摩擦に飛び火しないよう努めているが、加速化を目指していた韓日防衛交流には多少ブレーキがかかるものとみられる」と伝えた。
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