握手を交わす李大統領(右)と高市首相=30日、慶州(聯合ニュース)
握手を交わす李大統領(右)と高市首相=30日、慶州(聯合ニュース)
【慶州聯合ニュース】韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は30日、南東部・慶州で日本の高市早苗首相と初の首脳会談を行い、高市政権とも友好的な関係を築く基盤をつくった。

 高市首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため、30日から11月1日の日程で韓国を訪れた。

 韓国大統領室の姜由楨(カン・ユジョン)報道官によると、両首脳は和気あいあいな雰囲気の中、幅広い交流を継続することを確認した。高市首相が安全保障や経済、社会分野で幅広い関係を構築することを望むと述べ、李大統領も「民主主義の価値や秩序を共有しているだけに、経済、社会、安全保障、民間交流を通じた関係が構築されることを望む」と応じた。

 両首脳は李大統領の提案で次回は東京ではなく、日本の地方都市で会談することで一致し、首脳同士が相互訪問する「シャトル外交」を継続する意思を確認した。

 李大統領は就任後、日本との友好的な関係構築に力を入れている。就任から4カ月で石破茂前首相と3度の会談を行い、シャトル外交を早期に定着させた。背景には韓米同盟や韓米日3カ国協力が李大統領の掲げる「国益中心の実用外交」の軸になるとの認識がある。国際秩序が急変する中、政治・経済・文化的な共通点が多い国と多方面での連携を築く必要があるとの判断もある。李大統領はこうした構想を実現するため、歴史問題と未来志向の協力を切り離して対応するという「ツートラック」の戦略を進めている。

 「保守強硬派」とされる高市首相が就任し、こうした実用主義的な戦略が問われるとの見方もある。ただ、高市首相は就任前、太平洋戦争のA級戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社参拝を見送るなど、外交関係に配慮する姿勢を示した。李大統領との会談でも両国関係で前向きな姿勢を示し、友好的な流れが続く可能性を見せた。

 会談で過去の歴史問題に関する直接的な言及はなかった。ただ、李大統領は「韓日は庭を共有する近い関係のため、家族のように情緒的に傷つくこともあると思う」と述べ、高市首相は共感を示したという。

 李大統領としては高市首相とシャトル外交を継続するとともに、交流・協力を強化し、歴史問題をも解決する好循環の糸口を探ることが今後の課題になりそうだ。


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