APEC首脳会議のハイライトは韓米、韓中、米中の首脳会談だ。李大統領は堅固な韓米同盟と韓米日の連携を基盤に中国との関係も敵対的にならないようバランスを取る「実用外交」を掲げるが、これが現実の国際関係の中でどのように具体化できるかが焦点となる。
最善のシナリオは、韓米首脳会談で関税と安全保障分野に関して最終合意し、韓中首脳会談ではサプライチェーンの安定化や自由貿易協定(FTA)の拡大など経済協力の強化で合意することだ。さらにトランプ氏から北朝鮮との対話へ前向きなシグナルを引き出せれば最上の成果となる。
第2次トランプ政権発足後、悪化の一途をたどる米中関係が、初の首脳会談を機に緊張緩和に向かえば、世界の国をつなげる「懸け橋」としての韓国外交の存在感を高めることができる。李大統領としては就任1年目の外交的成果に勢いを得て強固なリーダーシップを構築し、朝鮮半島の安全保障や国内政治における構想実現へ弾みをつけられる。
ただ、こうしたバラ色の展開を期待する一方で現実には難関が立ちふさがる。韓国大統領室は難航する韓米関税交渉で、3500億ドル(約53兆4000億円)の対米投資における認識のずれは狭まったと説明するが、投資額のうち現金による直接投資の割合や投資期間などで争点が残る。韓国は長期間の分割投資や投資先選定への関与、収益の配分などで多様なカードを出して交渉を続けているが、両首脳による合意文書への署名に至ることができるレベルまで協議が進むかは不透明だ。
関税交渉が最終合意に至らなければ韓米同盟の現代化や原子力協定の改定などを含む「安全保障パッケージ」も確定できない可能性が高く、韓米関係の安定性が低下することが懸念される。
米中2大国の間での「微妙な綱引き」も課題だ。中国は韓国との首脳会談で、友好協力関係を維持する原則を掲げながらも韓米の密着をけん制する見通しだ。「韓米日対中ロ朝」の構図が強まる中で、安保は米国に、経済は中国に依存してきた韓国が安保と経済をともに米国に依存する方向に傾くのではないかと韓米、韓日首脳会談を注視するとみられる。
また、APEC首脳会議に合わせた米朝首脳会談の可能性について、李大統領は米CNNのインタビューで「可能性は高くない」としながらも、「米朝が電撃的に会うことができたら、全面的に歓迎し積極的に支援する」と述べた。ただ、北朝鮮は22日に弾道ミサイルを発射し、APEC首脳会議を前に存在感を誇示しようとしており、李大統領はさまざまな変数に臨機応変に対応する必要がある。
日本の高市早苗新首相との初の会談も注目される。石破茂前首相と軌道に乗せた首脳の相互往来「シャトル外交」を「極右性向」とされる高市氏とも継続できるかに、歴史問題と経済協力を切り離して対応する「ツートラック」の対日外交戦略の成否がかかる。
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