金融通貨委員会を主宰する韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁(左、写真共同取材団)=23日、ソウル(聯合ニュース)
金融通貨委員会を主宰する韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁(左、写真共同取材団)=23日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国銀行(中央銀行)は23日に定例の金融通貨委員会を開き、政策金利を年2.50%に据え置くことを決めた。据え置きは3会合連続。

 政府が6月と9月の2回にわたり不動産対策を打ち出したにもかかわらずソウルの住宅価格上昇が止まらず、今月には追加対策が発表されたことから、利下げによって住宅価格の上昇をあおる理由がないと判断したものと受け止められる。また、1ドル=1430ウォン(約152円)台で推移しているウォンの対ドルの為替レートがさらにウォン安に振れる危険性も考慮した。

 金融通貨委員会は昨年10月に3.50%だった政策金利を0.25%引き下げ、金融政策を引き締めから緩和に転換。11月も市場の据え置き予想に反し、2会合連続での利下げに踏み切った。

 さらに今年上半期も2月と5月の2回利下げを行い、緩和基調を維持した。建設・消費など内需不振と米国の関税の影響で今年の経済成長率が0%台にとどまると予想されたことで、通貨政策の焦点を景気浮揚に合わせた形だ。

 一方で7、8月に続き3会合連続で政策金利を据え置いたのは、不動産市場が非常に不安定なためだ。

 政府は6月に発表した不動産対策で首都圏の住宅担保融資の限度額を最大6億ウォンに縮小したが、韓国不動産院の統計によると10月第2週(10月13日時点)のソウルのマンション価格は秋夕(チュソク、旧暦8月15日)の連休前(10月初め)に比べ0.54%上昇し、上昇幅はむしろ拡大した。

 これに対し、政府は今月15日、ソウル全域と首都圏の主要地域を土地取引許可区域に指定。15億ウォンを超える物件の住宅担保融資の限度額を2億~4億ウォンまで引き下げる対策を発表した。

 不動産規制が強化された1週間後に韓銀が利下げを行い、融資を促進すれば、政府の政策との齟齬(そご)が問題とならざるを得ない状況だ。

 韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁も20日に行われた国会企画財政委員会での国政監査で、「韓銀の立場としては流動性をさらに高め、不動産市場に火をつける役割はしないようにする」と明言した。

 米国との関税交渉の不確実性などによる不安定な為替相場も政策金利据え置きの主な根拠となった。

 14日のソウル外国為替市場で、ウォンの対ドルの為替レートの日中の終値(午後3時半時点)は1ドル=1431.0ウォンと、日中の終値としては4月29日(1437.3ウォン)以来5カ月半ぶりのウォン安・ドル高水準を記録。その後も1420~1430ウォン台で推移している。

 ここで利下げに踏み切ればウォンの価値はさらに下がり、1430ウォン台以上のウォン安水準となる恐れがある。

 さらに、半導体などの輸出好調や株式など資産価格の上昇に伴う消費心理の回復、来年の経済成長率回復の見通しなどにより、景気浮揚を目的とする利下げ圧力が弱まった点も据え置きの決定に影響を及ぼしたとみられる。

 専門家の間では、住宅価格や為替の不安が沈静化しない限り、来月も利下げは難しいとの分析が優勢だ。

 NH金融研究所のチョ・ヨンム所長は「対策によって住宅市場に変化が生じればよいが、11月も現在のような雰囲気が続き、不動産や為替に関する憂慮が引き続き拡大すれば、11月に利下げが行われる可能性も大幅に減少せざるを得ない」と説明した。


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