国政監査で発言する許民氏=16日、ソウル(聯合ニュース)
国政監査で発言する許民氏=16日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】世界遺産に登録済みの「明治日本の産業革命遺産」に含まれる端島(通称・軍艦島)や「佐渡島の金山」で行われていた朝鮮半島出身者の強制労働について、韓国と日本が労働の強制性の表現などを巡り隔たりを見せている問題に関連し、韓国国家遺産庁の許民(ホ・ミン)庁長は16日、11月にフランス・パリで開かれる国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会に出席し、同問題を来年の議題に採択するよう要請すると明らかにした。国会文化体育観光委員会の国政監査で答弁した。韓日の歴史認識に関する問題が来年の世界遺産委員会で議論されるか注目される。

 「明治日本の産業革命遺産」が登録された2015年当時、日本政府は同地で朝鮮半島出身者の強制労働があったことを説明すると約束したが、十分に履行されているとは言えない状況だ。特に20年に東京に開設された「産業遺産情報センター」では、朝鮮半島出身者の強制労働について全く扱われず、日本の産業化を誇る内容だけが掲示されるなど、歴史の歪曲(わいきょく)と指摘されている。同センターが遺産から遠く離れた東京に設置されたことも問題視された。

 韓国は今年7月に開かれた世界遺産委員会で、同遺産を巡り日本の措置が十分ではないとして正式議題とすることを提案したが、日本は2国間レベルで議論すべき問題だとして反対の立場を示し、この案件を削除した修正案を提出。韓国は受け入れられないとして採決を要求した。21の委員国による投票が行われ、日本の修正案は賛成7、反対3で可決された。

 また佐渡島の金山については、対象の時期を江戸時代に限定するなどして、強制労働から焦点をずらそうとしたなどと指摘されている。

 同遺産が世界文化遺産に登録された際に日本側は、朝鮮半島出身者を含む労働者の追悼式の開催などを約束したが、追悼の辞に労働の強制性が盛り込まれず、韓国は去年に続き、今年の追悼式も参加を見合わせた。

 許氏は「当時、強制労働をさせられた他のアジア諸国と連合体あるいは協議体を構成して話す必要がある」とし「共同対応する方法も検討している」と述べた。また、韓国内にある強制労働に関する遺物などを徹底的に調査し、それを世界遺産に登録することで抗議する考えもあると説明した。

 許氏は世界遺産委員会が来年7月に釜山で開かれることに触れ、遺産での強制労働の問題が「議題に上がる可能性が高い」とし、「(対応策を)多方面から検討している」と述べた。


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