3500億ドルの送金?…韓国が日本と異なる理由
3500億ドルの送金?…韓国が日本と異なる理由
第80回国連総会に出席した韓国のイ・ジェミョン大統領は、機会があるたびにアメリカとの投資交渉を額面通りに受け入れることはできないと強調している。日本と韓国は経済規模や外貨準備の状況がまったく異なるという点に言及し、3,500億ドルの対米投資ファンドの創設要請に難色を示している理由だ。

 22日には米上下院議員らと、23日にはアメリカのオピニオンリーダーらと面会し、韓国経済の状況を説明した。24日にはスコット・ベセント米財務長官と会談し、アメリカの要求通りに3,500億ドルの直接投資を実行すれば、韓国経済が混乱に陥る可能性があることを明確にした。

 これに先立ち、韓国の参考事例として取り上げられた日米交渉は、5,500億ドル規模の対米投資協定に帰結した。日本は自動車などの対米輸出品の関税を15%に引き下げる利益を得たが、協定の構造には不均衡であるとの批判がある。日本が莫大な資本を提供しながらも投資決定権は持てず、リスクだけを背負わされる構造が明らかになったからだ。

 日本が提供する5,500億ドルの投資先の決定は、全面的にドナルド・トランプ大統領に委ねられている。投資委員会もアメリカ側の人物だけで構成されており、日本には事実上の拒否権がない。損失が発生してもアメリカは責任を取らず、日本が全額を負担する。利益が出ればアメリカが配分を受け、損失は日本がかぶるという構造だ。事実上、日本政府が「アメリカの無制限クレジットカード」を開いたようなものだ。

 収益配分も不公平である。表向きは50対50だが、一定期間後にはアメリカの取り分が90%に拡大する。海外メディアは「世界第4位の経済大国である日本が関税引き下げのために極端な譲歩を受け入れた」と論評した。実際に合意通りに進行するかは不透明だが、日本政府は大きな負担を背負うことになった。

 3,500億ドルを現金フローの形でそのままアメリカに提供する場合、韓国経済にはさらに大きな負担がかかる。当初、大統領府が発表していた保証や融資限度ではなく、「現金を送金する形」になれば、莫大な国富流出につながる可能性がある。これは2024年のGDPの19%、2025年予算の72%、外貨準備高の85%に相当するためだ。

 外貨状況も韓国には極めて不利である。アメリカの要求をそのまま受け入れれば、アメリカに送るドルの需要が高まり、莫大なウォン売りが発生し、ドル高・ウォン安が避けられなくなる。ウォンを買おうとする需要が韓国以外にはほとんどないという現実を考慮すると、為替ショックは必然である。外国為替市場の不安定はすぐに実体経済全体へと波及する可能性がある。

 政治的な波紋も小さくない。3,500億ドル規模の投資は国会の同意が必要な案件であり、国内政界の強い反発は避けられない。財政健全性と国民負担の問題が同時に浮上する可能性がある。日本はGDPや外貨準備高の規模で緩衝装置があったが、韓国にはそれほどの余力がない。

 国際的な信用格付け機関の視点も変数となる。韓国が無理に大規模投資ファンドを受け入れれば、国家の信用格付けの引き下げにつながる可能性がある。これはすぐに外国人投資の萎縮や借入コストの上昇に直結し、韓国経済全体に負担をかけることになる。

 一部では、日本もアメリカの要求をそのまま受け入れるわけではないという噂が出ている。ひとまず署名だけしてアメリカの顔を立て、実際の執行は柔軟に対応する、いわゆる「裏合意」だ。しかし、イ・ジェミョン大統領は今月11日の就任100日記者会見で「裏合意はない」と線を引いた。

 基軸通貨国ではない韓国は、「署名した」という事実だけでも金融市場に衝撃を与える可能性がある。日本と違い、韓国は外貨準備の余力が小さく、ウォンは国際的な決済手段として使われていない。交渉過程で単に署名すること自体がリスクとして作用する可能性がある点を、大統領が警戒したものと思われる。
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