<W解説>来月、韓国の名節「チュソク」=最大10連休可能も、消費者負担増の懸念
<W解説>来月、韓国の名節「チュソク」=最大10連休可能も、消費者負担増の懸念
韓国の名節、秋夕(チュソク、中秋節)を来月に控える中、国民からは経済的負担への懸念が高まっている。ことしの秋夕は10月6日(月)で、ことしは秋夕前後の祝日と週末が重なるため、3日~9日まで7連休となる。さらに10日の金曜日を有給取得すれば土・日曜日を含めて史上最長の10連休も可能だ。物価高の中、例年より長い秋夕の連休となるため、消費者の支出も増すことが予想されている。政府と与党「共に民主党」は今月15日、秋夕の物価対策を協議した。

秋夕はソルラル(旧正月)と並ぶ韓国の代表的な名節で、親戚一同が故郷に集まって先祖の墓参りをしたり、食事をしたりするのが一般的な過ごし方だ。また、秋夕の朝には、先祖の霊を迎え入れるための祭礼「チャレ(茶礼)」が行われ、祭壇には野菜のナムルや肉、魚などたくさんの食べ物が供えられる。「民族大移動」と言われる大規模な帰省ラッシュで高速道路の大渋滞や、人でごった返すソウル駅の光景はおなじみだ。

ことしは10連休も可能で、海外旅行の需要が高まっている。オンライン旅行プラットフォーム「アゴダ」がこのほど公表した宿泊検索データによると、ことしの秋夕の連休の旅行先候補として韓国人利用者が最も多く検索した海外旅行先は東京だった。2位は福岡、3位は大阪で、TOP3は日本が占めた。5~8月に、チェックイン日を秋夕の連休に設定して検索されたケースを分析した結果だという。また、ホテルズドットコム・コリアによる類似の調査では、2位に名古屋が入った。特に、家族旅行先として好まれているという。今夏は猛暑の影響などで、夏休みの旅行需要は低迷したといい、旅行業界は例年以上に長い秋夕の連休を反転のチャンスと捉えている。

一方、韓国メディアのイーデイリーは「ことしの秋夕の連休期間が長いため、消費者の支出負担が重くなるだろうとの調査結果が出た」と報じた。同メディアによると、消費者公益ネットワークは21日、全国の消費者1000人を対象に実施した「2025年秋夕支出計画」の結果を発表。それによると、ことしの秋夕の支出予算は平均71万2300ウォン(約7万5000円)だった。昨年の秋夕連休の56万3500ウォンより、26.4%増えた。同メディアは「1日当たりの平均支出で計算すれば、昨年の11万2700ウォンから、ことしは10万1800ウォンに減少したが、連休期間が2日長くなったため(ことしの連休を7日とした場合)、総支出額は増加した」と解説した。その他、増加要因について同メディアは「品目別費用の上昇や、両親へのお小遣い、プレゼント費用など、秋夕の関連固定支出の増加などが原因とみられる」と分析した。

政府と与党「共に民主党」は15日、秋夕の物価対策を協議した。物価安定のため、茶礼床の食材の供給を最大限増やすほか、低所得世帯などには、政府が管理する米などを通常より20%安い価格で供給するという。

一方、茶礼の準備には相当な労力が必要になり、秋夕が終わると脊椎や関節に異常を感じたり、めまいや頭痛、腹痛、動悸(どうき)などの症状を訴えたりする人が増えるとされる。「名節症候群」とも呼ばれ、特に女性に多く見られる症状という。名節の準備は女性に集中しがちで、何もしない夫に妻が愛想を尽かし、関係が急速に悪化したあげく、離婚に至るケースもあるという。かつて、新型コロナ禍では、こうした秋夕の伝統的な過ごし方が簡略化されることも多く、一部では「負担が減って安堵した」との声も聞かれた。

イーデイリーによると、前述の調査で、回答者のうち86.4%は茶礼の簡素化または代替を考えていることが分かった。理由としては、家事負担、経済的負担、時間不足などが挙がった。一方、伝統的な形式を維持するとの回答は13.3%にとどまった。

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