李大統領は、就任から約2カ月半で開かれるトランプ米大統領との首脳会談のため23日にソウルを出発し、日本を経て米ワシントンとフィラデルフィアであわただしく日程をこなした。
出発前から、今回の韓米首脳会談は李大統領の最大の試金石となるとの分析が出ていた。
7月末に妥結した韓米通商交渉の詳細を詰める必要がある上、安全保障分野の懸案では米国から強硬な要求が突きつけられるとの見方もあり、これを突破できるかどうかによって李大統領の任期序盤の国政推進力も大きな影響を受ける可能性があるためだ。
今回の会談で両国は対立を招く敏感な懸案は避け、友好的同盟関係を確認する姿を見せたという点で期待された成果を上げたとして、政界では肯定的な評価が出ている。
会談直前まで突発事態の発生に対する懸念も少なくなかったが、そのような雰囲気を覆してトランプ大統領との初対面を無事に終えただけでも合格点だという声も上がっている。
一部では、トランプ大統領が突発的な要求で李大統領に圧力をかけるとの懸念もあったが、争点となった問題が会談で前面に押し出されることはなかった。
李大統領は今回の会談で、トランプ大統領に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)との会談を提案。これに対し、トランプ氏は「今年会いたい」と応じた。
トランプ大統領からは10月に韓国・慶州で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への出席について前向きな回答を得ており、「一緒に訪中しよう」と提案されるなど韓米間の安保分野の懸案について幅広く対話した点も評価される。
李大統領は前日に米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)で行った演説で「(韓米首脳会談の)結果は非常に良かった」とし、「期待よりはるかに多くのことについて対話し、了解し、励まされた」と述べた。
また、会談後の日程でも韓米両国の経済・安保協力のメッセージを発信し、韓米同盟強化の意志を強調した。
会談直後には韓米の財界関係者と「ビジネスラウンドテーブル」の行事に出席し、経済協力拡大策について議論したほか、ワシントン近郊の米軍の戦没者墓地、アーリントン国立墓地を参拝した。
訪米最後の日程としては韓国のハンファグループが買収したフィラデルフィアのフィリー造船所を訪問。米海洋大気局が発注した船の命名式に出席した。
首脳会談で確認した韓米間の友好ムードを現場でも生かそうという意図と分析される。
ただ、最初のハードルを越えたとしても「宿題」が残っているという慎重な評価もある。
今回の訪米で韓米交渉において争点となる問題が議題となることはなかったが、最終的に米国からの「本当の請求書」が届くであろうことを踏まえると、今後の交渉でも米国との激しい綱引きは避けられない見通しだ。
米国が要求するコメ・牛肉市場の開放、対米直接投資の拡大、韓米同盟の現代化、在韓米軍の戦略的柔軟性拡大などの問題は、今後の交渉でいつでも両国関係の起爆装置となる恐れがあるとの見方も出ている。
また、韓国が米朝対話など東アジアの安保状況の変化を引き出す「ペースメーカー」になるために乗り越えなければならない障害物も依然として残っている。
北朝鮮と中国がどのような反応を示すかも読めず、北朝鮮とロシアの蜜月関係など国際情勢も不確定要素といえそうだ。
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