前大統領夫人・金建希氏を逮捕…決め手は「偽物」ネックレスか=韓国
前大統領夫人・金建希氏を逮捕…決め手は「偽物」ネックレスか=韓国
韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領の夫人・キム・ゴンヒ(金建希)氏が、複数疑惑の容疑者として逮捕された。先月には尹氏も逮捕されており、韓国憲政史上初めて、元大統領夫妻が同時に身柄を拘束される異例の事態となった。裁判所は「証拠隠滅の恐れがある」と拘束理由を説明したが、背景には、特別検察官チームが提出した「ヴァンクリーフ&アーペル」のネックレスの真正品と模造品が決め手になったとみられる。

 ソウル中央地方裁判所のチョン・ジェウク(鄭宰旭)令状専門部長判事は13日夜11時59分ごろ、金氏の拘束令状を発付した。金氏は尋問後、ソウル南部拘置所で待機していたが、即日収容された。

 特別検察官チーム(以下、特検)は、金氏のドイツモータース株価操作疑惑、ミョン・テギュン氏への公認介入疑惑、ゴンジン法師への請託疑惑などを理由に拘束令状を請求していた。金氏がすべての容疑を否認し、これ以上の聴取は無意味だと判断したため、6日の聴取の翌日に令状を請求した。

 裁判所が「証拠隠滅の恐れ」を拘束理由としたのは、特検が強調した「NATOネックレス」をめぐる経緯が大きく影響したとみられる。特検は、金氏側が捜査を妨害するため、真正品のネックレスが存在しなかったかのように偽装し、模造品を関係者の自宅に置くなど、計画的な証拠隠滅を試みたとみている。

 金氏は2022年5月、北大西洋条約機構(NATO)の外遊時に、財産申告に記載のない高価なネックレスを着用し、物議を醸した。もし自ら購入し、申告しなかった場合は公職者倫理法違反、他人から受け取った場合は収賄罪などに問われる可能性がある。

 金氏側は当時、「20年前に購入した模造品を母親にプレゼントし、それを借りて着用した」と釈明していた。先月末には、金氏の兄の義母宅からこの模造品が発見されていた。

 しかし、特検は11日にソヒ建設の関係先を家宅捜索し、真正品のネックレスを任意提出の形で確保した。特検によると、金氏は騒動が起きた後、ソヒ建設から受け取ったこのネックレスを返却しており、ソヒ建設側がそれを保管していたという。ソヒ建設は、2022年の大統領当選直後にこのネックレスを購入し、金氏に渡したという内容の自筆書も提出している。

 特検は、金氏の兄の義母宅から見つかった模造品と、ソヒ建設から提出された真正品の両方を裁判所に提示した。オ・ジョンヒ(吳政姬)特検補は12日のメディアブリーフィングで「NATO外遊時に真正品を着用したことは明らかであるにもかかわらず、20年前に香港で購入した模造品だと陳述した。模造品が金氏の兄の親戚で発見された経緯について徹底的に捜査する予定だ」とし、証拠隠滅を企てた疑いを追及する方針を明らかにした。

 ネックレス関連の収賄容疑は拘束令状の主な理由には含まれていなかったため、金氏側は「別件だ」と反論したという。これに対し、吳特検補は「(拘束令状の)容疑事実は、争点を明確にするために最大限簡潔に整理したものだ」とし、「拘束事由を判断する際には、経緯、共犯関係、捜査の必要性などを全体的に審議する」と説明。金氏の証拠隠滅の可能性を説明するため、前後の状況を説明し、裁判所がこれを受け入れたとみられている。

 鄭宰旭令状専門部長判事は同日午前10時10分ごろから午後2時35分まで尋問。特検チームが午前10時10分から午後12時55分まで約2時間45分間、金氏の容疑を疎明し、拘束の必要性を説明した。尋問にはハン・ムニョク(韓文赫)部長検事など8人が出席した。特検チームの意見陳述以降、約5分間休憩した後、午後1時ごろから2時35分まで金氏側の反論が続いた。金氏側からはユ・ジョンファ、チェ・ミョンソン、チェ・ジウ弁護士が出席した。
Copyrights(C) Herald wowkorea.jp 104