農林畜産食品部が11日に国民の力のチョ・スンファン議員に提出した資料によると、今年初めて導入された公共配達アプリ割引クーポンの使用額は先月の31日時点で96億3900万ウォン(約10億2000万円)と集計された。これは総予算650億ウォンの14.8%水準にすぎない。6月10日からイベントを始めて以降、2ヶ月間に使われたクーポンは10%台にとどまり、年内にすべてのクーポンが使用されるかどうかが不透明な状況だ。
公共配達アプリは地方自治体が運営したり、民間と協力して運営を行っている。仲介手数料が最大2%と、民間の配達アプリ(2%から9.8%)より安い。別途に広告手数料がかかることもなく、配達費用も相対的に安く、地域通貨や商品券を使用することができ、飲食店側と消費者側の負担を同時に減らすことができることが長所として挙げられる。
韓国政府は外食物価の高騰や高い配達手数料負担の問題の代案として公共配達アプリの活性化を推進してきた。公共配達アプリの割引クーポン事業は、現在全国50の自治体で運営されている12の公共配達アプリで2万ウォン(約2130円)以上の注文を3回行えば1万ウォンの割引クーポンを受け取れる方式で進められている。
6月にイベントを開始して以降、予想より低いクーポンの使用実績を受けて発行基準の緩和も行った。先月25日から農食品部は1人あたり月1回の利用制限をなくし、注文回数も従来の3回から2回に減らした。農食品部の関係者は「1人あたり月1回の利用制限があったため、消費者が恩恵を享受しにくいとの指摘に対し、消費者の利便性を高め、公共配達アプリの活性化という事業趣旨を生かすための措置」と説明している。
このように公共配達アプリの使用率が低調なのは、認知度が低いうえに参加店舗の数も少ないためだ。韓国農水産食品流通公社の「2022年第3四半期外食産業インサイトリポート」によると、事業主らは公共配達アプリの使用率が丁重な原因として「低い認知度」(42.5%)を最も多く挙げた。消費者がアプリを使用しないため、事業主側もアプリへの参加を敬遠したため入店数が増えず、消費者の使用が増えない悪循環が続いている。
利便性の面でも民間のアプリとの格差が開いている。民間のアプリは検索などの利用もより便利で、配達もより速い。民間のアプリは配達者を直接雇用し、独自システムのため迅速な配車が可能だが、公共配達アプリは店主が別の配達プラットフォームを通じて配達員を探さなければならない。
セジョン(世宗)市で自営業をしている40代のペさんは「昼食時や夕食時の忙しい時間帯には公共配達アプリで配達してくれる人を探すことが難しく、もしいたとしても費用が高くつく」と語り、「スピードと費用の両側面で不利な構造だ」と訴えた。
実際に公共配達アプリの数も減少している。2020年に新型コロナウイルスの感染拡大により配達需要が増え、提供された公共配達アプリの数は30を超えていた。だが、持続的な赤字により地方自治体が運営を終了し、現在は12のアプリのみが残っている状況だ。
専門家らは、参加店舗の拡大のために配達料の補助や配車システムの構築など、競争力を高めるための活性化対策が必要だと指摘している。地方自治体ごとに乱立している公共配達アプリを統合し、規模を大きくすべきとの意見も出ている。
イナ(仁荷)大学消費者学科のイ・ウンヒ教授は「公共配達アプリの競争力を高めるためには民間の協力を拡大して差別化する戦略が必要だ」と述べ、「短期的には韓国政府が支援金を出すことでアプリに誘導することができるが、長期的には消費者が体感できるサービスの改善が伴わなければならない」と述べた。
Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 107