尹前大統領の獄中再逮捕に「拷問」と進歩派教授が批判=韓国
尹前大統領の獄中再逮捕に「拷問」と進歩派教授が批判=韓国
進歩的な市民団体「参与連帯」の元幹部で、著名な法学者として知られるパク・キョンシン(朴景信)高麗大学法学大学院教授が、ユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領に対するキム・ゴンヒ(金建希)氏をめぐる特別検察官(特検)の逮捕状執行の試みを「拷問」と批判し、波紋を広げている。

 朴教授は7日、自身のフェイスブックに「尹錫悦氏の獄中再逮捕に反対する」と題した文章を投稿。特検が尹氏の出頭を強制しようとした行為が、被疑者の黙秘権や自己負罪拒否の原則を侵害すると主張した。

 朴教授は、被疑者には黙秘権を行使する権利があり、これは絶対的な権利だと強調。韓国憲法第12条2項の「すべての国民は拷問を受けず、刑事上、自己に不利な陳述を強要されない」という規定を引用し、自己に不利な陳述を拒否する権利である「自己負罪拒否の原則」を指摘した。

 その上で、「尹氏は出頭を拒否することで、黙秘権の行使を明確に公言している」と述べ、この状況で特検への移送を強制することは「本来、自己負罪拒否の原則で根源的に防ごうとしてきた『拷問』に過ぎない」と断じた。

 また、逮捕・勾留は「証拠隠滅や逃走の恐れがある場合のみ認められる」とし、すでに拘束中の尹氏にはその懸念がないため、捜査目的での拘禁は許されないとの見解を示した。

 朴教授は、尹氏の有罪は明白だとしつつも、「だからといって、自己負罪拒否の原則や黙秘権の行使が否定されてはならない。尹錫悦1人を捕まえるために、原則と人権を放棄してはならない」と主張。「彼(尹氏)はすでに捕まっている。特検が捜査しようとしている犯罪に対する有罪の証拠もすでに多数ある。これを必ず自白で確認しようとすることは『拷問』に過ぎない」と改めて強調した。

 さらに、朴教授は、検察がこれまで行ってきた捜査慣行にも言及。「無罪推定を受ける人々を、本人の意思に反して夜通し出頭させ、世論裁判をすることができた力が、検察が韓国社会に向けて振りかざしてきた権力の核心だった」とし、「特検がその慣行に従っている」と批判した。

 続けて朴教授は、「検察の捜査権を完全に剥奪する法案(検捜完剥)が成立しても、すでに拘束された被疑者が黙秘権を行使するにもかかわらず、検察が強制的に出頭させられるなら、検察の権力は失われないだろう」と述べ、文章を締めくくった。

 特検は1日と7日の2度にわたり、拘置所に収容されている尹前大統領の身柄確保を試みた。しかし、尹氏が「調査に応じない」と抵抗し続けたため、最終的には執行を断念した。

 報道によると、7日の試みでは、特検の指揮を受けた拘置所の機動巡察チーム約10人が、椅子に座ったまま抵抗する尹氏を椅子ごと持ち上げて連れ出そうとし、その過程で尹氏が床に転倒する事態になったという。
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