21日から韓国の全国民に15万ウォン(約1万590円)から55万ウォン(約5万8400円)の民間生活回復消費クーポンが給付される。7年以上延滞していた5000万ウォン(約531万円)以下の長期延滞債権16兆ウォン(約1兆7000万円)分は今年中に消却され、融資を受けることが困難な層113万人が借金のくびきから脱することになる。発足から1ヵ月を迎えたイ・ジェミョン(李在明)政権は、このような果敢な財政投資を民間回復の呼び水にする構想だ。

今年の経済成長率が0%台の予想から1%台に上昇するとの期待と、国家債務1300兆ウォン(約138兆円)突破で未来の世代の負担が大きくなったとの批判が同時に出ている。

与党は今年の第2次補正予算案の編成と審議・議決を迅速に処理した。先月26日の政府案の提出から今月4日の与党が主導した国会本会議の処理、5日の李大統領が主宰した臨時国務会議での審議と議決まで2週間しかかからなかった。この過程で30兆5000億ウォン(約3兆2400億円)の補正予算の規模は31兆8000億ウォン(約3兆3700億円)に増えた。

国会での審議過程で増額された予算は2兆4000億ウォン(約2550億円)、減額は1兆1000億ウォン(約1170億円)に達した。具体的には、消費クーポンなど景気浮揚対策に2兆1000億ウォン(約2230億円)増加した17兆3000億ウォン(約1兆8380億円)、個人事業主の長期延滞債権を買い入れ·償却し、乳幼児の保育料支援額を5%引き上げ、発達障害者のケア拡大など民間生活の安定に3000億ウォン(約318億円)追加した5兆3000億ウォン(約5630億円)をそれぞれ投入することを決めた。年内に施行される可能性を考慮し、防衛予算などは減額した。

最大の関心事は民間生活回復の消費クーポンに充てられる予算だ。韓国政府は所得水準により15万ウォンから50万ウォン(約5万3100円)を2回に分けて給付し、農村・漁村の人口減少地域の住民には1人あたり3万ウォン(約3180円)を追加で給付する計画だったが、共に民主党の要求を受け入れソウル・キョンギ(京畿)・インチョン(仁川)地域を除いた非首都圏の住民に1人あたり3万ウォン、84の人口減少地域の住民に5万ウォン(約5300円)を追加で給付することを決めた。さらに地方財政の負担を減らすため、国費補助率も90%まで引き上げた。

これにともない、21日から1回目の給付として全国民に1人あたり15万ウォン(約1万5900円)を、低所得層と一人親家族には30万ウォン(約3万1800円)、基礎生活受給者には40万ウォン(約4万2400円)を配布する。地域ごとの追加支給額もこの時に上乗せされる。9月22日からは所得下位90%を選別し10万ウォン(約1万600円)を給付する。

さらに「5大分野」の消費促進のための割引クーポンは7月に映画、8月に宿泊・公演・展示、9月にスポーツ施設の順で給付される。エネルギー消費効率の高い家電製品の購買費用を最大で30万ウォン(約3万1800円)まで支援する還付サービスは8月の末から施行される。

韓国政府は補正予算の効果を最大化するため、9月末までに85%以上を給付するなど、早急な対応を行う構えだ。国民の消費余力を補強することで内需の振興と景気好転の好循環が起きることを期待している。

補正予算に支えられ、今年0%台だった暗鬱(あんうつ)な経済成長率の予想値は1%台に上昇するものとみられている。企画財政部は補正予算で今年の経済成長率が0.2%上がると見通している。国会予算政策処は補正予算にともなう成長率の増加幅を0.14%から0.32%と推定している。韓国銀行の6月の予想値が0.8%であることを考慮すると、1%台を超えると予想していることになる。

しかし、一部では補正予算の効果に疑問を投げかけている。消費の促進が一時的な効果にとどまり、景気回復に至るには限界があると指摘されている。増える続ける国の借金も負担になっている。韓国政府は税収欠損の懸念の中でも補正予算の財源調達のために国債21兆1000億ウォン(約2兆2400億円)を追加発行することを決め、今年末の国家債務は1301兆9000億ウォン(約138兆円)に達すると予想されている。これは国内総生産(GDP)比49.1%の水準にあたる。

イファ(梨花)女子大学経済学科のソク・ビョンフン教授は「韓国銀行は個人・企業に資金を給付するよりも、政府が直接消費・投資に支出した方が景気浮揚効果が3倍ほど大きいと予想している」と述べ、「効果が3倍大きい政策を差し置いて消費クーポンという費用対効果の低い政策を実施した場合、その効果が相対的に下がることは避けられない」と批判している。
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