2023年3月、Aさんはいつものように出勤するため2号線のサダン(舎堂)駅からカンナム(江南)駅まで地下鉄に乗った。しかし数日後、警察から電話がかかってきた。「あなたがが女性の体を触ったという通報があった」という内容だった。いたずら電話だと思ったが、Aさんはすぐに容疑者となり正式に起訴された。
警察は、「江南駅4-1車両で降りた男性が被害者の陳述と一致する」としてAさんを挙げた。被害者も写真の中の人物からAさんを選んだ。
被害者の陳述は一貫しており、時間帯と位置もほぼ一致した。警察は、「この時間帯の地下鉄車内で2人が一緒にいた」と判断した。事件初期、Aさんの弁護人も「初めに報告書だけを見れば有罪が出る可能性もある」と観測した。
しかしCCTVを繰り返し確認する中で弁護人はおかしな点を発見した。警察が主張した4-1車両にあるべきシルバーシートがなく、一般席だけが見えた。確認の結果、Aさんは3-3車両にいた。被害者が乗った車両とは全く異なる車両だった。
法定ではさらに大きな展開があった。被害者は「警察が見せた女性は私ではない」と証言し、服装も警察の説明と異なった。警察はカーキ色のジャンパーだと言ったが、被害者はグレーのカーディガンを着ていた。
Aさんは、「捜査がおろそかだったために無罪となり、控訴すらなかった」とし、「しかし警察は最後まで謝罪も、補償もしなかった」と話した。長く持病を患っていたAさんは今回の事件でパニック障害まで患うことになった。「まだあの日のことを考えると息が苦しくなる」と明かした。
Aさんの弁護人は、「警察が車両番号を知らなかったわけがない。CCTVに被害者もいないのにいると主張した」と故意性を疑った。警察は、「でっちあげではなく、捜査が不十分だった点は遺憾」と明らかにした。
Aさん側は当時の捜査官を虚偽公文書作成と職務怠慢の容疑で告発する予定だ。
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