23年5月に家族とともに漁船で韓国に渡ってきたキム・イルヒョクさんは、知り合いの22歳の男性が韓国ドラマ3作とK―POP約70曲を流布したという罪で公開銃殺されたと証言した。公開銃殺は3カ月に2回の頻度で行われ、1回で12人銃殺されたこともあるという。
北朝鮮は2020年12月、韓国の映像物を流布した者を死刑、視聴者は15年以下の懲役とする内容の「反動思想文化排撃法」を制定したが、同法に基づいて実際に死刑が執行されていることを示す証言だ。
女性の脱北者は、2015年ごろから携帯電話の検閲が本格化し、女性が年上の男性を呼ぶときに使う「オッパ」という呼称を使用すると、「同志」と直すよう指摘され、相手の名前の後ろにハートの絵文字を付けるのも禁じられたと証言した。
また以前は韓国のドラマや音楽を視聴して摘発されても300~400ドル(1ドルは約145円)を払えば見逃してもらえたが、最近は摘発をもみ消すために要求される金額が大きくなり、銃殺されるかもしれないという不安があったと振り返った。
キムさんは、コロナ禍では病死するより餓死する人がはるかに多かったとし、物価が高騰し、凶悪犯罪が頻発したとも伝えた。
20代の女性脱北者は、コロナ禍前には見かけなかった浮浪児がコロナ禍以降急増したと話した。
別の脱北者も「2023年には離婚すれば1年の懲役刑に処するという法が発表された」と話した。
韓国政府系シンクタンクの統一研究院が発刊している「北朝鮮人権白書」には、北朝鮮では女性が離婚や妊娠中絶を選択した場合、収容所で労働を強いられるとする証言が収録されている。
ソウル事務所は26日まで脱北者が証言する行事を開く。同事務所が約400人の脱北者から聞き取り調査した内容は9月に開催される国連人権理事会に提出される。
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