<W解説>ロ朝による「包括的戦略パートナーシップ条約」締結から1年、際立つ蜜月ぶり
<W解説>ロ朝による「包括的戦略パートナーシップ条約」締結から1年、際立つ蜜月ぶり
ロシア前国防相のショイグ国家安全保障会議書記が今月17日、北朝鮮を訪れ、キム・ジョンウン(金正恩)総書記と会談した。両氏の会談は3月下旬以降で3回目。今月4日の会談からは2週間しか経っておらず、異例の頻度となっている。ロシアのタス通信がショイグ氏の話として伝えたところによると、金氏はウクライナ軍が越境攻撃したロシア西部のクルスク州の復興のため、工兵など6000人を派兵することを決めたという。ロ朝は、どちらか一方が戦争状態になった際、軍事的な援助を提供することなどを明記した「包括的戦略パートナーシップ条約」を交わしており、その締結から19日で1年になった。ロ朝をめぐっては軍事協力を強化しており、今回の復興要員の派遣決定は、さらなる関係の緊密化を印象付けた形だ。

昨年6月、ロシアのプーチン大統領は24年ぶりに北朝鮮を訪れ、金氏と会談した。「包括的戦略パートナーシップ条約」はこの時に締結したものだ。北朝鮮の朝鮮労働党中央軍事委員会は今年4月、ロシアによるウクライナ侵攻を支援するため、金氏の命令でロシアに北朝鮮軍兵を派兵し、ウクライナとの戦闘に参加していることを認めた。同委員会の当時の声明では、北朝鮮兵が「大きな貢献をした」と主張。また、派兵は、「包括的戦略パートナーシップ条約」第4条に基づくものだとした。第4条には、「どちらか一方が武力侵攻を受け、戦争状態になった場合、遅滞なく保有する全ての手段で軍事的及びその他の援助を提供する」と明記されている。北朝鮮としては、兵士を提供する見返りに、最新の軍事技術をロシア側から得たい思惑があったとみられている。ロシア政府も同様に、北朝鮮軍兵士がロシアに派兵され、クルスク州の奪還作戦に参加していることを認めている。

国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁の履行状況を監視する「多国間制裁監視チーム(MSMT)」は先月、報告書を公表し、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、北朝鮮からロシアに少なくとも100発の弾道ミサイルが供与されたと指摘。また、昨年、1万1000人を超える北朝鮮兵士がロシアに派遣され、最近、3000人が追加で送られたと報告した。3年以上にわたりウクライナを侵攻するロシアに対し、北朝鮮が行ってきた支援の実態が明らかになったが、北朝鮮は、報告書は偏向していると非難。ロシアとの軍事協力は「主権の正当な行使だ」と主張している。

ロシアのジョイグ安全保障会議書記は17日、北朝鮮の首都、ピョンヤン(平壌)を訪れ、金氏と会談した。ショイグ氏は今月4日にも金総書記と会談しており、この時はウクライナ情勢や北朝鮮軍が派遣されたロシア西部・クルスク州の再建問題などについて議論した。ジョイグ氏はプーチン大統領の最側近とされる人物。ジョイグ氏は3月21日にも訪朝して金氏にプーチン氏の親書を渡している。約3か月の間に3回もの会談が行われたことになり、ロ朝の親密ぶりがうかがえる。17日の会談でショイグ氏は金氏に対し、プーチン大統領の指示で頻繁に訪朝していると述べると、金総書記は「それだけ、我々の協力が強化されている証拠だと思う」と応じた。

ロシアメディアによると、会談で金氏はウクライナ軍が越境攻撃したロシア西部クルスク州の地雷除去のために1000人、インフラ復興に5000人の工兵を派遣することを表明したという。北朝鮮は既に同州に戦闘要員を派遣しているが、今回の決定により、復興のための作業に必要な人員も追加で送ることになる。ショイグ氏はこの派遣について「北朝鮮の国民と金書記がわが国、特にクルスク州に対して示してくれた兄弟のような支援だ」と述べたという。

英国の国防省は今月15日、同州に派遣された北朝鮮軍兵士のうち、6000人以上が死傷したとする推計を発表した。今回の会談では、同州での戦闘に参加し戦死した北朝鮮兵の記念碑建設などについても話し合われたという。

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