◇外国人健康保険の黒字 昨年は過去最高に
国民健康保険公団によると、外国人加入者の健康保険財政は2017年から24年まで8年連続で黒字となった。24年には9439億ウォン(約995億円)の黒字となり、過去最高を更新した。外国人加入者が負担した健康保険料が保険からの給付額より多かったことを意味する。
注目されるのはこれまで赤字が続き、「ただ乗り」との批判があった中国籍加入者の現況だ。国籍別の統計で18年に1509億ウォン、19年に987億ウォンの赤字となった中国は23年に27億ウォンと赤字幅が縮小し、24年には55億ウォンの黒字に転じた。
◇「ただ乗り」防止に向けた制度改善
韓国政府は外国人健康保険の加入や利用の基準を強化してきた。過去には外国人が入国した直後に職場加入者の家族(被扶養者)として登録し、保険料を納付せず高額の診療を受けた後に出国するケースが多くあった。このようなケースを防ぐため、政府は24年4月から外国人と在外国民は国内に6カ月以上在留する場合に限り健康保険の被扶養者の資格を得られるよう制度を強化した。
19年7月からは6カ月以上滞在する外国人に健康保険の加入を義務付けている。
◇残りの課題は?
外国人の健康保険を巡っては、相手国が韓国国民に提供する健康保険の水準に合わせて外国人の国籍別に保険基準を設ける「相互主義」を導入するよう求める声もある。
ただ、政府は慎重な姿勢を示している。財政が赤字となっている特定の国に対し相互主義を適用する場合、外交摩擦を引き起こす懸念があり、国際通商規範に反する可能性もある。韓国に在留している外国人の大多数が韓国より医療保障水準が低い開発途上国から来た人のため、相互主義の導入が特定の国籍者への差別を正当化する結果を招くとの指摘もある。海外でも在留期間や就労の有無で加入資格を決めるだけで、国籍によって保障水準に差別を設ける国はほとんどない。
外国人健康保険の財政が黒字になっていることを受け、専門家らは国益と人道主義、差別禁止という価値をいかに調和させていくかに関する社会的合意を模索する段階にあると提言している。
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