韓国はG7メンバーではないが、英国が議長国を務めた2021年と、日本が議長国だった2023年のG7サミットに招かれ出席した。2021年のサミットには当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領が出席。初の参加に当時、与党の「共に民主党」や政権中枢は歓喜し、大統領府高官からは「韓国が事実上、G8に位置付けられたとの国際的な評価が出ている」という発言も飛び出した。韓国は、一昨年5月に広島で開催されたG7サミットにも招待された。当時のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領はG7サミット拡大会合に出席し、外交・安全保障や経済のほか、発展途上国への支援や環境問題などに関する国際協力について議論した。また、滞在中、当時の岸田文雄首相と共に広島市の平和記念公園にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑を韓国の大統領として初めて訪問したほか、日韓首脳会談、日米韓首脳会談も行った。一方、昨年6月にイタリアで開かれたG7サミットに、韓国は招待されなかった。当時、大統領室は「イタリアは自国内の移民問題と関連するアフリカ・地中海問題を中心に対象国を決めたと理解しており、尊重する」との立場を明らかにした。しかし、野党からは、「尹政権はウクライナ戦争、中東情勢、朝鮮半島の新冷戦など、急激に変わる国際情勢を議論する重要な場から、事実上、排除されたもの」などと批判の声が上がった。
今年のG7サミットはカナダのアルバータ州カナナスキスで開かれる。サミットでは、ロシアから侵攻を受けるウクライナに対する支援を含めた「国際的な平和と安全保障」、米国の新たな関税措置による影響や、中国の過剰生産などの問題などを含めた「世界経済の安定と成長」、「デジタルへの移行」などが議題となる見通しだ。
韓国は2年ぶりにG7サミットに招待され、今月4日に大統領に就任した李氏が出席する。韓国紙の朝鮮日報は7日付の社説で、「李在明大統領としては、国内の懸案が山積する中、就任と同時の外交舞台デビューに負担を感じているかもしれない」とした上で「しかし、李政権が喫緊の課題と認識している経済問題は、積極的な首脳会談なしには解決できない」と指摘。韓国はG7サミットのほか、今月24、25の両日にオランダで開催予定のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議にも招待される見通しで、朝鮮日報は「G7やNATOなど北米、欧州、インド太平洋の同盟国や友好国の首脳が集まる会議は毎日あるわけではない」と指摘。「今回の一連の首脳会議については、就任直後から関係国首脳らと会える場が一気に準備できる絶好の機会と考えてほしい」と求めた。
李氏がG7サミットに出席することになったことから、この機会に石破首相との初の日韓首脳会談が行われるか注目される。石破首相は今月4日、李氏の大統領選当選に祝意を示した上で、「1965年の日韓国交正常化以降、築いてきた日韓関係の基盤に基づき、これをさらに発展させていくことを期待している」と述べた。その上で、今後の日韓関係について「日本と韓国は、互いに国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国だ」と強調した。また、李氏との首脳会談についても言及し、「なるべく早急に行う方がよい」と意欲を示し、「李氏との間で日韓、日米韓の協力を活発化させたい」と述べた。
李氏は外交政策に関して、尹前政権による「価値」を外交の中心に置いた「価値外交」から転換し、「国益」を最優先に考えた「実用外交」を展開する考えを示している。李氏はこれまで日本に向けて厳しい姿勢を取ってきたが、最近になって日韓関係を重視する考えを強調している。
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