ソウル西大門区新村洞の住民センターに設けられた事前投票所の出入り口で、生中継を行うユーチューブチャンネルが、市民が投票所外で投票用紙と回送用封筒を持っている様子を捉えた。また、管外選挙(期日前投票)のために待機していた一部の有権者が、長い行列を理由に投票用紙を受け取ったまま食事に出て戻ってきたとの報道もあった。
これに対し、中央選挙管理委員会(選管委)は説明資料を公表し、「午前11時ごろから午後0時25分ごろまで新村洞事前投票所で、管外事前投票者が本人確認と投票用紙を受け取った後、記載台の待機列が投票所の外まで伸びる事例が発生した」と認めた。
選管委は、午後0時25分ごろに外部での待機を中止し、本人確認と投票用紙の交付速度を調整したと説明。午後1時15分ごろには、全国の地域選管委にこの状況と注意事項を伝達したという。
さらに、選管委は記載台を7台追加し、合計13台を設置したと明らかにした。
当初、この投票所には記載台が6台しかなく、身分確認を行う管外事前投票の機器は7台だった。このため、有権者が殺到すると、待機列が投票所の外まで伸びてしまったと選管委は説明している。
選管委は「記載台の待機列が長くなった状況で、投票用紙の交付速度を調整できなかった管理上の不備があった」と指摘。また、「投票所外に警察官や案内員が配置されていたにもかかわらず、ごく少数の有権者が待機列から離れるなど、待機中の有権者に対する統制が完璧ではなかった点について、申し訳なく思う」と謝罪した。
加えて、「今後同様の事例が発生しないよう、再発防止に努める」と述べた。
この投票所として使用された建物は、2022年1月以降使用されておらず、建物内外に防犯カメラ(CCTV)が設置されていなかったという。
当該投票所の管理官は、西大門区庁の職員だった。事前投票所の管理官は地方自治体職員が担当するため、当時現場には選管委の正規職員はいなかったとも伝えられる。
西大門区庁側はこれに対し、「投票管理官は本来、区庁職員だが、選管委から教育を受け、委任されて職務を行っている」とし、「現場で働く資格も区庁職員としてではなく、選管委の指示を受ける選挙管理官としてだ」と説明した。
今回の投票用紙搬出事態を受け、政界の一部からは選管委のずさんな管理を批判する声が上がった。
与党「国民の力」のパク・ソンフン(朴成訓)中央選挙対策委員会報道官は論評で、「事前投票初日から明らかになったずさんな選挙管理だ」と批判し、「選管委は信頼回復の意思があるのか」と、徹底した真相究明と国民への謝罪を求めた。
朴氏は「選管委自らが投票の盛り上がりに水を差してはならない」とし、「本投票日まで単一件の論争も発生しないよう、組織の命運をかけて完璧な選挙管理に臨むべきだ」と強く求めた。
同党のナ・ギョンウォン(羅卿瑗)議員は自身のフェイスブックで、「前回の(2022年)大統領選挙ではざるや買い物袋に投票用紙を入れて運ぶという、とんでもない光景が見られたが、今回は投票用紙が勝手に投票所の外に出るのを放置した」と述べ、「繰り返される管理不備に国民だけが怒りを感じている」と批判した。
ペ・ヒョンジン(裵賢鎮)議員は、「『ざる投票』で足りず、今度は『ご飯茶碗投票』なのか」と皮肉り、「選管委は今すぐ全国の投票所で同様の事態がないか確認し、国民に報告すべきだ。今後の選挙管理の不備に対して国民への謝罪や責任者の処分といった措置も覚悟すべきだ」と強調した。
同党のムン・ソンホ(文聖皓)ソウル市議とイ・ジンサム(李振三)西大門区議は同日、直接事前投票所の現場を視察した。
チョン・グァンフン(全光焄)牧師が率いるサラン第一教会の傘下団体「大韓民国正しく立てる国民運動本部」も同日声明を発表し、「『投票用紙外部搬出』事態は単純な現場の混乱ではなく、大韓民国選挙制度の根幹が崩壊した深刻な破綻だ」と厳しく批判した。
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