両氏の公約を比較すると、李氏が北朝鮮の核の脅威を段階的に削減することによる軍事的緊張の緩和と平和ムードの醸成に焦点を合わせた一方、金氏は核潜在力の強化と北朝鮮の核の脅威が高まった場合の韓米間戦術核再配備の議論など、抑止力の強化に重点を置いた。
李氏は、朝鮮半島での軍事的衝突の危険を減らして平和ムードを醸成するとし、▼偶発的衝突の防止▼軍事的緊張の緩和▼信頼構築措置の推進――を公約とした。2日にはフェイスブックに「(2018年の)南北軍事合意を復活させ、対北ビラとごみ風船、拡声器による放送を相互に中止し、南北境界地域の平和と安全を守る」と投稿。朝鮮戦争などで生き別れになった南北離散家族の再会など、南北交流・協力も推進すると表明した。
また、全般的な対北朝鮮抑止力を確保するという公約も提示し、韓国型弾道ミサイルの性能と韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)を高度化すると約束した。韓米同盟に基づく有事作戦統制権の移管も推進する考えを示した。
外交分野の公約としては、国際的な通商環境の変化に対応し、外交領域を拡大するとして▼主要20カ国・地域(G20)、主要7カ国(G7)を通じてグローバルな懸案に積極的に参加▼新アジア戦略・グローバルサウス協力の推進▼中核素材・燃料鉱物の供給網安定化――に向けた通商協力の強化を公約した。
また、国の中核技術流出の取り締まりを強化するなど貿易安保の取り締まり体制を確立し、漁業協定の履行強化や違法中国漁船への強力な対応によって海洋主権を守るとの意思も示した。
これに対し、金氏の公約は「韓米拡大抑止の実行力と韓国独自の核潜在力強化」に集約される。
拡大抑止の実行力を強化するため、▼米戦略資産を常時駐留に準ずる水準で展開▼韓米核・在来式(通常戦力)統合(CNI)訓練の充実化▼韓米相互防衛条約への「核攻撃保護条項」の追加を推進――などを公約した。
さらに、独自の核潜在力強化のために韓米原子力協定を改定し、原子力の平和利用の範囲内で日本に準ずる水準のウラン濃縮・プルトニウム再処理技術を確保し、緊密な韓米協議の下で必要な場合は核兵器設計技術も蓄積する。また、原子力潜水艦の開発も推進すると約束した。
北朝鮮の核の脅威が高まれば米国と戦術核再配備、または北大西洋条約機構(NATO)式核共有を協議し、韓国軍合同参謀本部傘下の戦略司令部の核兵器管理、統制・運用能力を事前に準備し、米国が戦術核をグアムに配備した後、韓国を守るために運用する方式を検討するとの公約も示した。
金氏が発表した10大公約には外交と南北関係に関する構想は盛り込まれなかった。
保守系野党「改革新党」から立候補した「国民の力」元代表の李俊錫(イ・ジュンソク)国会議員は、官庁改編・縮小の一環として統一部を廃止し、外交部に業務を統合することを公約として掲げた。
また、兵役義務者全員を対象に4週間の統合基礎軍事訓練を実施し、成績優秀者を将校・副士官候補に選抜する方策も提示した。
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