会見に臨むイ・ジュンイク監督とスエ=30日、ソウル(聯合)
会見に臨むイ・ジュンイク監督とスエ=30日、ソウル(聯合)
「スエはすべての男性の初恋相手である母親のDNAを持つ女優です」

スエ(女優) の最新ニュースまとめ

イ・ジュンイク監督が30日、ベトナム戦争を素材にした新作映画『あなたは遠いところに』の制作報告会で、ヒロインに抜擢したスエについてこう語った。

物語は、田舎に暮らす新妻スニ(スエ)が、夫(オム・テウン)がベトナム戦争に参戦したという知らせを聞き、夫を探すためベトナム慰問公演団に合流するというもので、1971年を舞台にしている。イ監督は「当時の若い女性たちは今の自分たちの母親世代に当たる。今の女優のなかで、すべての男性の母親たり得る女優はスエしかいない」と思ったという。

軍部隊を前に、ミニスカート姿で歌う女性歌手の写真を見てその美しさに感動し、これをモチーフに映画を撮ることを決めたというたというイ監督。似たようなアングルのシーンが劇中にも登場する。数世紀にわたり歴史は男性中心で、映画や文学も男性的な立場を表現してきたが、女性の立場から見れば皆、銃を手にほしいままに振る舞う人間でしかないと語る。女性を主人公にすることで、戦争を正確に見据える客観的な視点が生まれると説明した。

劇中はスエが歌い踊るシーンが多い。もともとは音痴だったというスエだが、映画のために2か月間にわたり特訓を受けた。制作報告会に同席したスエは「シナリオを初めて読んだときは果たして自分にこの役ができるのかと怖かった」と振り返る。最初から完成されているキャラクターではなく、撮影しながら1日1日、役に入り込んでいって作り上げていったと語った。

イ監督は、予め組まれた制作費をオーバーしない映画監督として知られる。今回も純制作費60億ウォン(約6億1000万円)で戦争映画を仕上げた。「脚本を書く段階から、アングルの中だけで画面を作ることに忠実に、それ以外の『水漏れ』は排除して効率性を生かした」という。共同制作に当たった米国のチームが、ハリウッドの6000万ドルクラスの映画のようだと評価したと紹介した。

前作『王の男』は、1000万人以上の観客を動員する大ヒットを記録した。新作の興行に関する質問も多く上がったが、イ監督は「映画は文化的価値と経済的価値がバランスをなすべきだが、最近は経済的価値ばかりに没頭しているようだ。映画は記録の競争ではなく、数字に執着する習性は自制してもらいたい」という言葉で回答に代えた。

『あなたは遠いところに』は来月24日に全国で封切り予定。
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