東京に設置された「産業遺産情報センター」(資料写真)=(聯合ニュース)
東京に設置された「産業遺産情報センター」(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部は18日、朝鮮半島出身者の強制労働があった長崎市の端島(通称・軍艦島)を含む世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」について、日本が強制労働の歴史を反映する新たな措置を取ったことは「過程の始まり」と評価した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は先ごろ、日本が展示内容を充実させるなどした取り組みを評価し、遺産の説明戦略を一層強化するよう促す決議を採択した。

 同部の当局者はこの日、記者団に対し「(世界遺産委員会の)決議にもあるように、これで終わるのではなく引き続き進めなければならない過程だと考える」と強調した。

 また、「今後日本が犠牲者の証言展示や追悼措置などを改善し、追加できるよう韓日両国やユネスコと引き続き対話したい」と述べた。

 サウジアラビアで14日(現地時間)に開催された世界遺産委員会では同遺産に関連し、日本が約束を継続して履行することが重要であり、関係国との対話を続けるよう促す内容の決議を採択した。

 日本は15年の世界遺産登録に際し、朝鮮半島出身者の強制労働を含む「歴史全体」を伝えると約束したが、これを守らず国際社会の批判を浴びた。

 だが、このほど東京の「産業遺産情報センター」に端島炭鉱での犠牲者に関する資料を展示する追悼空間を新設するなど、部分的に新たな措置を取った。

 日本はまた、15年の世界遺産委員会での韓日政府代表の発言が見られるQRコードも2カ所設置した。日本代表が当時「1940年代に一部施設で多くの韓国人と他国の人々が本人の意思に反して動員され、苛酷な条件で強制労役させられた」と認めた発言を見ることができる。

 このような状況を踏まえ、今回の世界遺産委員会の決議では日本に対する批判が目に見えて和らいだとの見方が出ている。同委員会は21年に採択した決議では日本の約束不履行に対し「強い遺憾」を表明していた。

 これに対し、外交部の当局者は「表現が少し柔らかくなったのは事実だが、だからといってそこに盛り込まれた内容が変わったとは思わない」と述べた。

 また、世界遺産委員会が今回の決議で「新たな証言」に関して関係国との対話を続けるよう勧告したことについて、「証言という特定の措置についての内容が決議に含まれたのは初めてだ」と強調した。

 日本が改善措置を取ったことは、朝鮮半島出身者が強制労働させられたもう一つの現場である「佐渡島の金山」(新潟)の世界文化遺産登録推進にも影響を及ぼす可能性があるが、どの程度忠実に「歴史全体」を示すことができるかが課題となりそうだ。

 韓国政府が約束履行の「始まり」と強調するのも、今後も引き続き措置が取られなければならないという趣旨と受け止められる。

 外交部の当局者は「日本が明治日本の産業革命遺産に対して何もしていないなら当然新たな施設の登録は難しいと見なすべきだが、何か新しいことを始めたとすれば佐渡島の金山に対しても同様にするという期待感が高まる」と述べた。


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