不動産価格が高騰した文前政権では、住宅価格の統計が論争を呼んでいた。監査院は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後の昨年9月以降、文政権での住宅価格などの統計の作成実態を調査してきた。この日、中間監査結果を発表する記者会見を開き、「青瓦台(当時の大統領府)や国土交通部が統計庁と韓国不動産院(旧・韓国鑑定院)に圧力をかけ、統計数値を改ざんしたり、統計の情報をゆがめさせたりするといった違法行為を行ったことを確認した」と明らかにした。
捜査要請の対象には、文政権の青瓦台政策室長4人全員が含まれた。4人は張夏成(チャン・ハソン)氏、金秀顕(キム・スヒョン)氏、金尚祖(キム・サンジョ)氏、李昊昇(イ・ホスン)氏。文政権の経済首席秘書官を務めた洪長杓(ホン・ジャンピョ)氏ら青瓦台の高官や、国土交通部長官だった金賢美(キム・ヒョンミ)氏、統計庁長だった姜信ウク(カン・シンウク)氏らも対象だ。
このほか、監査院は犯罪の疑いのある7人についても捜査参考資料を送付し、計29人が捜査機関の判断を受けることになった。
文政権の住宅価格統計に関し、監査院の崔達永(チェ・ダリョン)第1事務次長は「青瓦台と国土交通部は2017年から21年にかけ、94回以上にわたり韓国不動産院の統計作成に不当な影響力を行使し、統計の数値を改ざんさせた」と説明した。
監査院によると、文前大統領の就任直後の17年6月以降、政策室長だった張夏成氏は週1回の統計公表では不動産対策の効果を確認するのに不十分だとし、住宅価格の変動率の「確定値」(7日間の調査の翌日に公表)を公表する前に3日間の調査後の「週中値」、7日間の調査直後の「速報値」を報告するよう国土交通部に要求した。週中値より速報値や確定値が高い場合に理由を報告するよう圧力をかけたり、数値を実際より低く改ざんするよう指示したりしたという。作成中の統計を公表前に他の機関に提供することは統計法違反に当たる。
監査院は、こうした統計の流出・改ざんが後任の金秀顕氏、金尚祖氏、李昊昇氏の在任時まで続いたと判断している。
青瓦台と国土交通部が韓国不動産院の院長の辞任も取り上げながら圧力を継続したため、不動産院は19年2月から20年6月までの70週間は調査を行わず、任意の予測値を週中値として作成し、報告したことも判明した。
こうして作成された統計は現実とかけ離れたものになった。17年5月以降の5年間のソウルにおける住宅価格上昇率を韓国不動産院は19.5%と集計したが、民間機関のKB不動産の集計では62.2%に達した。
監査院は、文前政権が推進した「所得主導成長」を後押しするため所得や分配、雇用の統計にも手が加えられたと説明している。
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