韓国海洋学界は5日「福島原発放流水拡散に関する科学的理解シンポジウム」を開催した。
ソウル大学のキム・ギュボム地球環境科学部教授は、シンポジウムで「海水に存在する自然放射能と人口放射能核種の背景濃度(バックグラウンドレベル)と比べることなく、背景濃度より数千倍も低い濃度があたかも問題があるかのように誇張されている」と語った。
背景濃度とは、人為的汚染源から排出される量は除き、自然の排出源と長距離輸送により流入した量を含めた濃度のことをいう。
キム教授は「非常に低い濃度にもかかわらず、特定の起源だけを恐れている」とし「むしろすでに人体に大きな影響を与えるものと検証されている空気中のラドンと、喫煙によるポロニウム210の吸引を減らすことが必要だ」と語った。
海洋環境研究所のチョン・ギョンテ所長は、2011年の福島原発事故以降に発生した北太平洋へのトリチウム拡散の3つのモデルを踏まえ「日本の計画通りに汚染水(放射能処理水)の放流が行なわれれば、10年後と計算されるチェジュド(済州島)周辺のトリチウム濃度は、背景濃度の10万分の1という水準だ」とし「3つのモデルの結果、その全てで『事実上、わが国周辺の海水に影響はない』とみることができる」と語った。
トリチウムは処理水に最も多く含まれている放射能核種で、ALPS(多核種除去設備)でも除去されないことから韓国では問題視されている。
最も最近の研究結果である韓国海洋科学技術院(KIOST)と韓国原子力研究院(KAERI)のシミュレーションの結果によると、放出された処理水のうちトリチウムは10年後、韓国の海における平常時のトリチウム濃度の約10万分の1の水準である0.001ベクレル前後となる。
また、2021年に中国の第1海洋研究所と昨年に中国の清華大学で発表された処理水拡散シミュレーションの結果もこれに類似している。
ただ、韓国の専門家たちは「シミュレーションは日本が原発汚染水の放流を計画通り施行した場合を仮定したものであるため、持続的な監視などが必要だ」と強調した。
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