<W解説>韓国政府、自国経済は「鈍化」と判断、カギを握るのは中国の経済活動再開?(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国政府、自国経済は「鈍化」と判断、カギを握るのは中国の経済活動再開?(画像提供:wowkorea)
韓国政府は今月17日、韓国経済が鈍化局面にあるとの判断を示した。企画財政部(部は省に相当)は17日にまとめた経済動向報告書で「韓国経済は、物価が依然として高止まりしている中、内需回復の速度が緩やかになり、輸出不振や企業心理の委縮が続くなど、景気が鈍化している」とした。政府が「景気鈍化」と評価したのは2020年以来。昨年6月の報告書では「景気鈍化の懸念がある」、先月は「景気鈍化の懸念が拡大している」としていたが、今回、ここからさらに進んで、実際に景気鈍化の局面に入ったとの判断を示した形だ。企画財政部は「対外的には売国などの通貨緊縮基調、ロシア・ウクライナ戦争の長期化懸念など下方リスクで世界経済の不確実性が持続している」と説明した。

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昨年10~12月期の韓国の実質国内総生産(GDP)は前期比0.4%減少し、2020年4~6月期以来、10期ぶりのマイナス成長となった。輸出不振が響いた形だ。

不振は続いており、1月の輸出額は前年同月比16.6%減の462億8000万ドル(6兆2068億4200万円)で、4か月連続の減少となった。貿易赤字も126億5000万ドルと、月間基準で過去最大となった。半導体(44.5%減)と鉄鋼(25.9%減)、石油化学製品(25.0%減)をはじめとする多くの品目で不振が目立った。地域別では、対中輸出の減少率が31.4%に拡大し、それまで堅調だった対米輸出も6.1%のマイナスに転じた。

輸出不振の余波で昨年12月の製造業の生産は前月比3.5%減少した。企画財政部のイ・スンファン経済分析課長は「今月1~10日の輸出指標を一日平均基準に換算すると14.5%減となり、2桁減少が続いている。半導体輸出は操業日数を勘案すると半分以上も減少した」と説明した。

内需も振るわない、消費動向を示す小売販売指数は昨年12月に2.5%減少し、前月の下げ幅(2.1%)よりも大きかった。今年1月の消費者心理指数は90.7で、基準値の100を下回っている。また、1月の消費者物価指数は、公共料金が引き上げられた影響で上昇率が5.2%と、前月(5.0%)から拡大した。

韓国政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は、今後の韓国経済について、中国の経済活動の再開がカギを握るとの見方を示した。

韓国貿易協会の国際貿易通商研究院は今月12日、「中国のリオープン(経済活動再開)に伴う韓国経済への影響分析」と題した報告書で、中国のリオープンによる韓国の経済成長率の追加上昇分は0.16 ポイント、全体輸出量の追加上昇率は0.55ポイントになると予想した。今年の中国の経済成長率見通し5.1%のうち、昨年の成長率(3.0%)を上回る2.1ポイントを新型コロナウイルスの流行に伴う封鎖の解除による効果と仮定した分析結果だ。封鎖の緩和による韓国経済成長率の追加上昇分(0.16%)は、今年の経済成長率見通し(1.6~1.7%)の10%の水準、輸出量の上昇分(0.55%)は昨年の全体輸出量の増加率(1.8%)の31%に上る。

一方、韓国紙のハンギョレ新聞は「中国のリオープンをめぐっては、期待とは相反する見解もある」と指摘した。中国の消費拡大が世界的なインフレ圧力につながり、米国をはじめ各国が金融引き締めの緩和を維持した場合、景気回復を遅らせる恐れがあるからだ。

韓国貿易協会のカン・ネヨン首席研究員は前出の報告書で「中国が経済成長及び商品生産のために原材料の確保に乗り出した場合、スズや銅、亜鉛など金属価格はもちろん、豆、小麦など農産物の格が急騰する可能性があるだけでなく、この3年間累積したゼロコロナ政策と人口減少、不動産問題、債務危機が複合的に働き、経済成長の足を引っ張る可能性もある」と指摘した。その上で「消費財(化粧品、家電など)、中間財(半導体、石油化学、自動車部品など)、資本財(工作機械など)の輸出拡大のために、韓国のイメージ向上、地域的な包括的経済連携(RCEP)の活用などの努力が必要だ」とした。

政府は「物価の安定と国民生活の負担緩和に重きを置く一方で、輸出や投資の活力を高めるために全力を尽くす」としている。

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