11日と12日、ソウル市チュング(中区)トェゲロ(退渓路)のナムサン(南山)スクエアビルにある中国ビザサービスセンターは、通常の営業時間にオープンしていた。10日に駐韓中国大使館がソーシャルメディアの公式アカウントを通じて、この日から韓国人の中国入国の短期ビザ発給を中止すると発表したが、センターは正常運営をしているようだった。
広々としたセンター内部には、少数の職員とビザ発給を受けるために訪れていた少数の人だけが往来していた。待つ人もなく閑散としていたが、外にはセンターに入らず入口から中を覗き込んだり、どこかに通話をかけながら周囲を歩いていた。
ビザ発給を受けるために到着した数人がセンターの中に入ろうとすると、入口に立っていたセンターの職員が申請書と予約確認書を見せてほしいと阻止した。これを提示した人だけが中に入ることができ、同行した家族は入場を拒まれた。確認書を持参していなかった男性も入場を拒否され、無駄な足労となった。
この男性は「中国政府が短期ビザの発給を中止するという報道を見て、急いで問い合わせしようと立ち寄ったが、中に入れなかった」と話し、「近々個人的に中国を訪問する予定があるが、(センターのホームページに)申請予約をしたとしてもビザが発給されるかどうかはよく分からない」と困惑していた。
中国に留学中の息子のビザ更新のために息子と一緒にセンターを訪れたある女性は、申請者本人ではないという理由でセンターへの入場を制止された。息子一人で手続きをするしかなくなり、この女性は「保護者の同行もできないのか」と怒りを爆発させながら、不安な気持ちで入口の外から携帯電話で息子と話し、ビザの発給手続きを手伝った。
韓国政府は最近、中国国内の新型コロナウイルスの急激な感染拡大などを考慮し、中国人の韓国入国の短期ビザの発給と航空便の増便を制限し、中国からの入国者を対象に入国前後にPCR検査を義務付けた。
これに対して中国政府は、韓国を含む多くの国で取った中国からの入国者を対象とした防疫強化措置に反発し、相応な措置を取ると警告していた。10日、中国政府は韓国の中国からの入国者に対する防疫強化方針にともなう報復措置として、韓国人に対する中国入国の短期ビザ発給の中止を宣言した。続いて11日から中国を経由する韓国人と日本人に対するビザ免除も中断した。中国が警告後、ビザ発給を制限したのは韓国が初めてだ。
中国ビザサービスセンターは、インターネットのホームページに10日付で更新したビザ申請案内文を公示している。国家機関と各地方の主管部署などで発行された招請状がある経済貿易または科学技術などの活動ビザ、中国国内の学生募集機関で発行された入学通知書原本およびコピーがある長期留学(180日以上)ビザと短期留学(180日未満)ビザ、外国人就業許可通知のコピーなどがある就業ビザ、中国に常駐する外国メディアの特派員ビザ、乗務員ビザなどは現在ビザ発給要件に該当する。
しかし、就職や留学などで中国に滞在する家族に会ったり、個人的な事情で短期間(180日未満)中国への滞在が必要な場合に受ける訪問ビザ、中国国内に居住する中国国民または中国の永住権を保有する外国人を短期訪問(180日未満)しようとする家族が受けるビザなどは追加の書類提出を要求されるなど手続きが難しくなり、事実上発給が制限されている。観光ビザは新型コロナウイルスの発生以降、現在まで発給されていない。
現在、韓国のパスポートは全世界199カ国のうち192カ国をビザなしで、または簡単な入国手続きを経て入国することができる。これは日本(193カ国)に次いで世界第2位だ。しかし、中国に入国するためには依然としてビザが必要な状況が続いている。
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