新型コロナウィルスの感染判定を受けた後、3週間前に隔離解除されたキムさん(70代女性)は隔離通知書を携帯電話のショートメールで送るというので待っていたが受けることができず、29日に娘と一緒に直接保健所を訪れた。キムさんは「生活支援金を申請するには隔離通知書が必要だというが、3週間待ってもショートメールが来なかった」と話し、「なぜ送ってくれないのか分からない」と不満を吐露した。
隔離解除された感染者が保健所からショートメールで受け取る「隔離通知書」は、以前発給していた隔離解除確認書に代わるもので、今月から施行している。隔離通知書には名前と隔離期間、隔離場所など基本的な事項が記載されており、生活支援金を申請したり職場に自家隔離を証明するための提出用として使われる。しかし、オミクロン株やステルスオミクロン株などの変異の影響による感染者の急増に、隔離通知書を受け取ることができない人が続出するなど、システムが正常に機能しなくなっている。
保健所から携帯電話にショートメールによる隔離通知書を受け取ることができない場合、在宅管理支援相談センターに行ったり、インターネットのホームページを利用する必要がある。ただし、保健所は業務過負荷の状態で電話さえなかなかつながらない状況で、隔離解除者たちはいっそ保健所に足を運んだ方が早いと口を揃える。保健所のホームページを通しての隔離通知書の発給は一部の自治体でしか行われていない上、60代以上の高年齢層はインターネットの利用に慣れていないため、直接保健所に行った方が早いと話す人も多い。
実際、同日に取材したソウル市クァナク(冠岳)区の保健所には、隔離通知書を受け取るための市民たちでいっぱいだった。選別診療所に比べると閑散としていた数週間前の光景とはずいぶん違っていた。24日からオンライン発給を開始し、1週間前よりは待機する人数が減ったが、発給案内のために保健所入口に立っている職員は相変わらず番号札を配っていた。
週末の間インターネットで隔離通知書の発給を受けようとしたが、もどかしくて直接保健所に来たというイさん(60代女性)は、電話にさえ出なかったと話した。イさんは「他のところはショートメールで送ってくれるというのに、なぜここは隔離通知書を送ってくれないのか分からない」と話し、「生活支援金の申請のために隔離通知書が必要なのに、ショートメールで送ってくれれば楽なものをわざわざここまで来させるのか」と怒りをあらわにした。
感染者の増加にともなうシステムの麻痺は、在宅治療を行う町の病院も変わらない。PCR検査を受けて感染判定を受けた受診者は、町の病院や医院に電話をして非対面で診療受付をした後、医師と電話で話して診療と処方を受ける。しかし、感染者の急増により、在宅治療のための電話もうまくつながらない上、保健所で感染者登録を完了しなければ新型コロナウィルスの処方を受けることができない。
休日に感染判定を受けたチェさん(27歳)は在宅治療を受けるために、翌日すぐに町内の病院に電話をかけたが、「まだデータ上感染者とは出ていない。保健所で登録しなければならない」と言われた。チェさんは「喉がとても痛くてもう少し強い薬を処方してもらおうと思ったが、感染者として登録されていないと在宅治療ができないと言われた」と語り、「結局、両親が代わりに病院に行って処方を受けて薬を飲んだ」と吐露した。
これを受け、防疫当局は今月30日から感染者を対象に、町内の病院や医院のどこでも対面診療が可能になるよう、指針を変えることにした。漢方医院を含めた病院は30日から、医院は4月4日から外来診療センターへの申請が可能だ。申請後は審査なしに申請した日から対面診療を受けることができるようになる。
ハンリム(翰林)大学ソンシム(聖心)病院呼吸器内科のチョン・ギソク教授は「保健所がかなり前から人手不足で機能しなくなっている」と話し、「町内の病院や医院で感染者登録を可能にし、診断書で生活支援金を受け取れるようにするなど、医師と医療機関に全面的に任せなければならない時期に来ている」と指摘した。
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