韓国国内の火山専門家らは、富士山が噴火すると日本の関東圏の工業地域に直接的な打撃を与える一方、航空便の欠航や日本産の部品の供給網への支障などの被害を与えかねず、予め噴火の可能性を念頭に置いて備えなければならないと見ている。
◇最近発生している地震がマグマを刺激している可能性
富士山は本州中央部に位置している活火山で、日本経済の心臓部である東京都から100キロ離れている。富士山は地質学的に一つのプレートが違うプレートに沈み込む摂入現象が起こる所だ。フィリピン海プレートという海洋プレートが日本列島の下に沈み込み、この海洋プレートの中に再び太平洋プレートが沈み込んで重なった独特の構造を持って噴火が頻繁に発生していた。1200年間で11度の噴火があり、100年に1度の割合で噴火していたことになる。
これまで300年余りの間、休止期を送ってきた富士山が最近になってあやしい動きを見せている。地震のような爆発の兆候が発生し続けており、地元の専門家を中心に噴火の可能性が再び注目されている。昨年12月初めに富士山周辺でマグニチュード4.9の地震が発生し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で「富士山噴火」というハッシュタグが広がって緊張感が高まった。その後も富士山周辺では地震が発生し続けている。
このような現象が注目される理由は、地震が大噴火の兆候の一つだからである。実際に1707年の富士山の最後の噴火当時、日本は宝永地震が発生した直後であり、この宝永地震から約1か月で宝永大噴火が発生した。活火山に分類される富士山周辺にも次々と噴火の兆しが出ているため、緊張感が高まっているのだ。
噴火規模が大きいという点も、富士山の噴火が関心を集めている理由だ。一般的に噴火頻度が多いと噴火力が弱くなる。富士山はここ300年間沈黙を続けており、噴火力を貯めてきているため、噴火規模が大きくなると予想される。
火山専門家らは、噴火口の周辺や火山下のマグマ周辺で地震活動や地表変化が起これば火山噴火が迫っていると分析する。地震が火山から遠い場所で起きても、噴火活動を間接的に刺激しかねない。富士山の麓にあるマグマ房(マグマが満たされた空間)やマグマ房を取り囲む地殻を刺激してマグマ房を活性化したり、断層を弱くして断層の隙間からマグマが噴出することがある。
韓国地質資源研究院のクォン・チャンウ責任研究員は「富士山はよく知られている活火山だが、300年間噴火していないため、いつでも噴出する可能性がある」とし、「地震が富士山から離れた場所で発生しているため直接的な影響の可能性は低いが、間接的に噴火を刺激する活動が続いている」と説明した。
◇日本の首都圏の機能がマヒする可能性も…朝鮮半島は間接被害
富士山が噴火すると、マグマ活動で近隣地域に直接的な被害を与える可能性がある。最も懸念されるのは火山灰だ。火山灰は成層圏に乗り、ジェット気流の影響で東京都中心部を強打する可能性が高い。ジェット気流は中緯度地方の高度9~10キロ対流圏と成層圏の境界面付近で形成され、西から東に流れる強い風を意味する。富士山の上空はジェット気流の影響を受けるため、火山灰が西から東に移動し、日本の首都圏一帯の機能をマヒさせる恐れがある。微細粉塵(ミセモンジ)のように呼吸器に入って持病を発生させる原因になったり、海水に混ざって魚類を死なせる原因になりうる。硫黄成分が一部含まれているため、雨水とともに送電塔に入ってショートによる火災を誘発することもあり得るシナリオだ。
日本と違い、韓国には直接的な影響よりは間接的な影響を及ぼす可能性が大きい。過去に日本の北海道や南西地域で南東風の影響でキョンサンナムド(慶尚南道)圏に火山灰が流入したケースもあるが、富士山は事情が違う。過去の富士山大噴火当時、朝鮮半島に火山灰が流入した史料や痕跡もないことがこのような主張を裏付けている。
しかし、富士山が噴火すれば火山灰が広がり、韓国から米国や日本に向かう航空便の欠航といった間接的な被害を与える恐れがある。噴火が946年のペクトゥ(白頭)山大噴火のような強力な噴火につながり、被害規模が大きくなったり、何度かに渡って噴火が起こる可能性もある。
このため、韓国の専門家たちは韓国に及ぼす影響に関するシナリオの研究などを通じて、富士山の噴火に備えなければならないという立場だ。火山噴火は地域的な問題ではなく、世界的な問題になるため、富士山噴火の状況を注視し、被害を減らす方法も講じなければならないと助言した。
ポハン(浦項)工科大学環境工学部のイ・ユンス特任教授は「富士山の噴火は日本の専門家全員がその危険性に同意する問題であり、都市化・産業化に大きな被害を与え、韓国にも経済的な影響を与える余地がある」とし、「人類が自然現象は防ぐことはできないが、事前に備えるなら被害を減らせるだけに、噴火シナリオの研究など先制対応策を悩んで実行していかなければならない」と述べた。
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